生きるとは、自分の物語をつくること(小川洋子、河合隼雄)
一週間くらい前に読んだ本。
小川と河合の対談本である。
さらにいくつかの対談を重ねるはずだったのが、河合が倒れ、そのまま二度と対談はかなわなかったためか、天地左右も行間もスカスカに空いた本である。前に読んだ、ナオコーラの受賞本みたいである。こんなスカスカのページにしてまで、ハードカバーの単行本にせんでも…と思ってしまった。いまどきの例にならって、文庫オリジナル、といった選択肢もあったんではないのかなーと思う。
「原罪と物語の誕生」のところで、小川がこんなことを語っている。
生きるとは、 自分の物語をつくること (2008/08) 小川洋子、河合隼雄 商品詳細を見る |
小川と河合の対談本である。
さらにいくつかの対談を重ねるはずだったのが、河合が倒れ、そのまま二度と対談はかなわなかったためか、天地左右も行間もスカスカに空いた本である。前に読んだ、ナオコーラの受賞本みたいである。こんなスカスカのページにしてまで、ハードカバーの単行本にせんでも…と思ってしまった。いまどきの例にならって、文庫オリジナル、といった選択肢もあったんではないのかなーと思う。
「原罪と物語の誕生」のところで、小川がこんなことを語っている。
▼小川 自分は助かったけどみんな死んだ。何で自分は助かったんだろうと思い悩む。オウムやJR西日本、ナチスドイツなど、その原因を作った本当に非難されるべき対象が、ちゃんとあるにもかかわらず、生き残った自分自身を責めてしまう。人間は時として、現実を、むしろ自分の心をより痛めつける方向に、物語を変えて受け止めてしまうと言うことをしますね。それが私には、とっても不思議なんです。(pp.70-71)
小川には、物語について書いた本、たとえば『物語の役割』がある。そのなかでは、ものすごく辛いことや悲しいこと、衝撃的な事実にあった場合、人はそれをなんとか自分の心がうけとめられるようにして、折り合いをつける、そういう「つくりかえ」をおこなって、心にうけとめる、それが物語の役割だ、というようなことを書いていた(と思う)。
ここで小川が問うているのは、わざわざ、自分の心が苦しくなるような「つくりかえ」をして事実をうけとめる人間の心の不思議、なぜそんなことが起こるのだろうか、ということだろう。
なぜだろう、と私も思う。
小川には、物語について書いた本、たとえば『物語の役割』がある。そのなかでは、ものすごく辛いことや悲しいこと、衝撃的な事実にあった場合、人はそれをなんとか自分の心がうけとめられるようにして、折り合いをつける、そういう「つくりかえ」をおこなって、心にうけとめる、それが物語の役割だ、というようなことを書いていた(と思う)。
ここで小川が問うているのは、わざわざ、自分の心が苦しくなるような「つくりかえ」をして事実をうけとめる人間の心の不思議、なぜそんなことが起こるのだろうか、ということだろう。
なぜだろう、と私も思う。
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