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生きるとは、自分の物語をつくること(小川洋子、河合隼雄)

一週間くらい前に読んだ本。

生きるとは、自分の物語をつくること生きるとは、
自分の物語をつくること

(2008/08)
小川洋子、河合隼雄

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小川と河合の対談本である。
さらにいくつかの対談を重ねるはずだったのが、河合が倒れ、そのまま二度と対談はかなわなかったためか、天地左右も行間もスカスカに空いた本である。前に読んだ、ナオコーラの受賞本みたいである。こんなスカスカのページにしてまで、ハードカバーの単行本にせんでも…と思ってしまった。いまどきの例にならって、文庫オリジナル、といった選択肢もあったんではないのかなーと思う。

「原罪と物語の誕生」のところで、小川がこんなことを語っている。
▼小川 自分は助かったけどみんな死んだ。何で自分は助かったんだろうと思い悩む。オウムやJR西日本、ナチスドイツなど、その原因を作った本当に非難されるべき対象が、ちゃんとあるにもかかわらず、生き残った自分自身を責めてしまう。人間は時として、現実を、むしろ自分の心をより痛めつける方向に、物語を変えて受け止めてしまうと言うことをしますね。それが私には、とっても不思議なんです。(pp.70-71)

小川には、物語について書いた本、たとえば『物語の役割』がある。そのなかでは、ものすごく辛いことや悲しいこと、衝撃的な事実にあった場合、人はそれをなんとか自分の心がうけとめられるようにして、折り合いをつける、そういう「つくりかえ」をおこなって、心にうけとめる、それが物語の役割だ、というようなことを書いていた(と思う)。

ここで小川が問うているのは、わざわざ、自分の心が苦しくなるような「つくりかえ」をして事実をうけとめる人間の心の不思議、なぜそんなことが起こるのだろうか、ということだろう。

なぜだろう、と私も思う。
 
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乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行。最新は98号

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第120回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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