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手話の世界を訪ねよう(亀井伸孝)

昨日買ってきたのを読み終える。カバーや本文のイラストも亀井さん。

手話の世界を訪ねよう (岩波ジュニア新書)手話の世界を訪ねよう
(2009/06)
亀井 伸孝

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亀井さんは、理学博士で、手話通訳士で、専門は文化人類学、アフリカ地域研究。いろいろうろうろしてきたような経歴って感じ。
亀井さんの本は、妻のなみさんとの共著と、あと全部みっちりは読んでないけどアフリカのろう者のことを書いた本とは知っていた。

手話でいこう―ろう者の言い分 聴者のホンネ手話でいこう
ろう者の言い分
聴者のホンネ

(2004/12)
秋山 なみ
亀井 伸孝
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アフリカのろう者と手話の歴史アフリカのろう者と
手話の歴史

(2006/12/27)
亀井 伸孝

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この本の基本姿勢は「はじめに」で示されている。
▼手話について本当に学ぶということは、ろう者という人びと、つまり手話を自分たちの言語として話して暮らす人たちのことを、その広さと奥ゆきもあわせた全体像として受けとめ、ろう者たちの音を使わない文化を丸ごと理解しようとすることなのです。
 ですから、手話を学ぶことは、手の形をまねるところからではなく、手話ということばでものごとが進んでいく集まりの場を訪れ、そこで行われているさまざまなことを教えてもらうところから始まります。これはまさしく異文化世界でのフィールドワークに出かけることなのです(この本のタイトルを『手話を学ぼう』ではなく『手話の世界を訪ねよう』としているのも、そういう意味が込められています)。(p.iv-v)

手話ですべてが進んでいく世界、手話という目で見る言語のこと、少数言語としての歴史、ろう者のさまざまな文化、音声言語と手話の共存…そういった内容を、自身の失敗もネタに、わかりやすく書いてある。さすが文化人類学者だけあって、“ご近所の異文化”といえる、ろう者の言語と文化の世界について、ビギナーをその入口まで連れていき、さあ新しい世界への扉をたたいてみようという準備をさせてくれる。

とりわけ、「手話は言語だ」という説明は、今まで私が読んだ本のなかでは一番わかりやすいと思えた。

亀井さんは、「あとがき」でちゃんとこう書いている。
▼この本では…手話のことをほめすぎるでもなく、さりとて苦しいことばかり強調するのでもなく、ろう者が生きている文化の全体像を、ろう者コミュニティの内側の実感とともに紹介しようと心がけました。
 手話を覚えるのは難しそう、ろう者の立場をめぐる現実は厳しそう、自分にできることはあるのだろうかと思うみなさんもいるでしょうか。
 まったく心配ありません!私だって、ろう者について誤解だらけの、手話をたったの一語も話せない「ふつうの耳が聞こえる人」から出発したのですよ。今思えば、まったく恥ずかしいことに、「耳が聞こえない人は能力が低く、聞こえる人たちが手話でお手伝いをしているのだ」というイメージをもっていました。もう、顔から火が出そうです。ろう者のみなさま、ごめんなさい。(pp.213-214)

「そこに耳が聞こえる私たちが知らなかった何かがあるらしい」と、「異文化への好奇心ひとつで」手話の世界に飛び込んだ亀井さん。

私が手話をベンキョウしはじめたきっかけは、かつての職場にろう者の同僚がいたからだけど、この亀井さんの本を読んで、「言葉と文化」にその昔ずいぶん興味をもっていたなアと思い出した。そういう方面のベンキョウをしたいと思っていたこともあった。

「手話ということば」のベンキョウを今もほそぼそながら続けているのは、その根があるからかもなあと思ったりもする。

いい本だった。買ってよかった。新しすぎてまだ図書館にも入ってないし。
 
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乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在91号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第65回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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