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青春の終わった日(清水眞砂子)

清水眞砂子は、たぶん「『ゲド戦記』の訳者」としてよく知られているのだろうと思う。
しかし、私は『ゲド戦記』以外の清水の本ばかりを先に読んでいて、『ゲド戦記』のシリーズを読んだのはだいぶあとのことだ。

たしか、最初に読んだ清水の本は『子どもの本の現在』で、高校か大学の頃に、古本屋で買ったものだった。
今は増補・改訂されたものが岩波の同時代ライブラリーに入っている。

子どもの本の現在 (同時代ライブラリー (348))子どもの本の現在
(1998/07)
清水 眞砂子

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この評論集に入っているのは、どれも「うっ」と思う内容だった。
とくに「灰谷健次郎論」と「松谷みよ子論」が印象深かった。

清水が訳した本も知らないだけでいろいろ読んでいるのだろうが、清水自身の本はその後、『子どもの本のまなざし』『学生が輝くとき―何か、こわい、この時代に』『幸福に驚く力』『そして、ねずみ女房は星を見た〈大人が読みたい子どもの本〉』などを読んできた。

私は、清水が考え、書いてきたものを、どれも、何度かくりかえし読んでいる。

そして、久しぶりに新しい清水の本を読んだ。
青春の終わった日――ひとつの自伝青春の終わった日
(2008/09/02)
清水眞砂子

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サブタイトルには「ひとつの自伝」とある。
清水は一枚の古い家族写真の話からはじめ、自分の幼かった頃、中学・高校時代、そして大学時代を書いている。

▼いさかいの絶えないわが家に時折訪れるなごやかなひととき、それははしゃぎたくなるくらいうれしいもので、私にはだから「狼森と笊森、盗森」の子どもたちが、はしゃいでけんかをおっぱじめた気持ちがとてもよくわかる。後年私が「子どもは毎日毎日仕合わせを用意してやらなくても大丈夫。一週間に半日、ひと月に一日、いやいや半年に一日でも、いいな、と思える日があれば、あとの日も何とか生きられる」とくり返し言うようになったのは、こうした体験があるからである。(p.125)

▼子どもにとって、いちばんつらいのは、わけもわからず叱られたり、不機嫌な顔をされたりすることだ。私は叱られるからには何か自分に落ち度があるのだろう、と自分を責めた。わけもなく責めた。わけもなく責めるのはつらかったけれど、なぜ? と思いながら、先生を責めることなど、当時の私は思いつかなかった。(p.134)

中学時代の清水。
▼あの頃、ただひとつはっきりしていたこと、それは自分で食べていきたいということだった。母や義姉が言いたいことも言えずに、男たちに遠慮しいしい暮らしているのが私にはびんびん伝わってきていた。自由に使えるお金がないこと、自分の子どもに靴一足買うのさえ、母が息子であるM兄の目を盗むようにしていること、そんな母を見るのが小学校五、六年生の頃から、たまらなく辛くなっていた。(pp.144-145)

▼ともあれ、中学三年生、十五歳の私はひたすら自活することだけを考えていた。経済的に自立すれば、自由になれる。小さくなって暮らさずにすむ。そこには危い要素もひそんでいるのに、当時の私はひとかけらの危うさにも気づいていなかった。母だって、義姉だって、それから家族に便利に使われて家の中でも社会でも居場所の定まらないK姉だって、これだけ働いてもなお遠慮して暮らさざるをえないのは、自活できていないからではなく、もっと別の原因があるのかもしれないとは、当時の私には思いも及ばなかった。(p.146)


むかしの本も、また読んでみようかなと思った。
 
Comment
 
 
清水さんの「灰谷論」は、とても刺激的でした。記憶では、20代のなかばに、この本を読んでいますが、こどもの力をそぐーーーというような批評だったような。灰谷論では、小浜いつおさんの「お子様教」というのもありましたが、そちらよりも、清水さんのほうが私には説得力がありました。ほんとは、灰谷論を自分もやろうかなーーーと考えていたんだろうと思います。私の灰谷論は、おそらく、「兎の眼」の「てっつん」からの視点となるはずでした。
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乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在92号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第69回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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