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働き方革命─あなたが今日から日本を変える方法(駒崎弘樹)

去年か一昨年だったと思うが、この人の『「社会を変える」を仕事にする』や、ほかにも「社会起業家」がどうのという本をいくつか読んだ。

こないだ図書館の蔵書検索で、なにかを探していたときに(なにを探してたか忘れた)、この本が引っかかって、あ、これって病児保育のフローレンスの人やったねえと思って、借りてきた。

働き方革命―あなたが今日から日本を変える方法 (ちくま新書)働き方革命
あなたが今日から日本を変える方法

(2009/05)
駒崎 弘樹

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けっこうおもしろくて、昨日寝る前に(ちょっとだけ…)と読みかけたのを、結局読んでしまった。

私より10歳下の駒崎さん、学生時代からベンチャー経営者としてもやってきたせいか、めちゃめちゃ長時間労働をしていたそうだ。起きてる間は「シゴト」みたいな?そういうのが高じていくとだんだん人間が変わってくる。

駒崎さんは自分がどんな「働きマン」だったかを、率直に書いている。
・メールチェック中毒
 とにかくどこでもメールチェック。携帯にメールを転送して、ちょっとの空き時間にもチェックせずにはいられない。
・インプット不全症
 メールを「処理」する量は格段に増え、メールによるコミュニケーションこそ活発になったが、一方で、新聞や雑誌を読んだり、本をゆっくり読むという時間がとれなくなった。読む本のなかから、仕事に直接関係のない本が姿を消し、仕事に関係があっても分厚いのはパス、パッと読んですぐ分かりそうな薄い本だけになり、それもいつしか立ち読みでやっつけるように読んでいた。
・エンターテインメント忌避症
 雑誌や本に割く時間がない、まして映画や音楽はパスパス。映画を見たり音楽をきいたりしてるヒマがったらメールが何本返せるか!という思考になる。タイムイズマネー。

もうこりゃ立派な「常時多忙症候群」である。さらに変なことになっていく。

・コミュニケーション逃避症
 仕事の「処理」にがつがつと時間をとられ、いきおいコミュニケーション時間が削られていく。一緒にご飯でもと言われて「おにぎり食べながら仕事するからパス」、例の件をちょっと話し合いませんかと言われて「メールで送っといて、時間あるときに返信するわ」とパス、ちょっと相談がと言われて「結論から言ってくれないかな」とパス。
・常時不機嫌症
 仕事に急きたてられていくうち、いっそうの早口となり、矢継ぎ早に質問したりすると、叱責されている気分になる社員まで出てきた。社員のいいとこや工夫よりもミスや失点が目について注意して、注意して、イライラするばっかり。
・表情喪失症
 久しぶりに笑った顔を見ました、と言われる。笑いもせず、真顔で注意ばっかりしてるから。
・ネットワーク断絶症
 寝る時間を削り、土日は寝てすごし、誘われても「今日はちょっと」とパスばかりしていたら、仕事以外のネットワークが薄まっていった。「いつも忙しそうじゃん」「誘ってるけど、一回も来ないし」と言われ、さびしいと思いながら、仕事のためには仕方ないという思考。

仕事やから仕方ないっていうけど、仕事って、何なん?

駒崎さん、「主人」の理解が得られずに辞めていった(辞めてほしくなかった)女性社員のことを「いまどき妻を専業主婦にしたがる男なんてねえ」と社員に愚痴り、「そうですよねえ、忙しい忙しいって奥さんに家事や育児を押しつけるなんてねえ」と相づちを打たれて、ハタと気づく。

忙しい、忙しい、ってオレやんけ。

その女性社員の「主人」を罵っていたけれど、オレも同じやんけ。

ある日、ひょんなことから、忙しマンで働きマンの駒崎さんは、アメリカへリーダーシップ研修を受けにいく。

うわ、怪しい、カルトっぽい自己啓発かとも思ったそのセミナーで、駒崎さんは自分は何に興味があるのか考える。大金持ちになりたいとか思わない。「では、何に興味があるんだい?」と聞かれて、駒崎さんはこう言った。

▼「『働かせ方』です。いや『働き方』と言っても良いかもしれない。みんなが幸せになるような働き方。鬱病になったり、あるいは女の人を無理やり家に入れるような形じゃない、働き方。自分を食わせてくれるはずの仕事が、逆に自分の人生を忙殺したり、覆い尽くしたりしないで、より良い自分に常に変えていってくれるような働き方。日本にはそういう働き方が必要だと思うし、僕自身の会社でもそういうことを実現したいのです。」(p.56)

自分はどんな人生を送りたいだろう?と、かつてホームステイをした家のジェンセンおやじを思い出す。「ジェンセンおやじみたいな人生が送りたい」。(このジェンセンさんの話がイイ)

そこから、駒崎さんの「働き方革命」が始まった。
とりあえず自分のビジョンを書き出してみる。…うぅ、イタい、ハズカシイ。こんなん会社のやつらに見られたらめっちゃハズカシイ。けど、コトバにして、毎日それを見るようにする。

まずは自分が、9時-6時で帰る定時退社の経営者になる。
やってみたら、できた。今まで何時間も何時間も何時間も会社にいて、仕事をしていたのは何だったのか?(駒崎さんが、ここから自分と社内の「働き方」を変えていった話がこれまたおもしろい)

駒崎さんは「働き方」を見直すとともに、「働く」ということそのものを捉えなおしたのである。
ワーク・ライフ・バランスは、決して「自分のために、自己中心的に仕事の手を抜いて、自分のことに時間を使おう、っていう話」じゃない

▼人生そのものを『働く』として捉えるんだ、『働くこと』と『そうじゃないこと』があるんじゃなくって、食いぶちを稼ぐことも、家族と生きることも、自分のために学ぶことも、全部ひっくるめて『働く』っていう風に考えたらどうか、っていうことなんだよ。『働く』を『他者と自分のために価値を生み出すこと』とするんだ。俺たちは職場であろうが、地域であろうが、価値を生み出せるんだ!(p.181)

友人に「働くっていったら会社行ったりすることだろ、普通。」と言われながら、駒崎さんは違うんだと力説する。

会社で働くことだけが、「働く」じゃない。


▼会社という場所で働きつつ、自分を含めた社会のために働くんだ。そのために職場での『働く』もあれば、家庭での『働く』もあり、地域での『働く』もあるんだ。それぞれ楽しいんだ。(p.181)


駒崎さんが、赤裸々に、率直に書いている(であろう)ところが、よかった。
社員とのやりとり、彼女との関係の変化、両親や姉たちとのつながりの変化。
あまり沢山読んだことはないが、参考文献に『勝間和代の日本を変えよう』が入っていて、駒崎さんて、「男カツマ」みたい?とも思った。
 
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2009.07.01 Wed 12:58 乱読ぴょん  #-
この本で、片倉もとこの『ゆとろぎ』を思い出しました。
去年の秋の『We』べてる号に書いたやつです。
http://we23randoku.blog77.fc2.com/blog-entry-2.html
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乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在92号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第67回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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