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読んだり、書いたり、編んだり 

あの犬が好き(シャロン・クリーチ)

シャロン・クリーチの『ハートビート』がよかったので、昨秋出た『あの犬が好き』も借りてきてよんでみた。

あの犬が好きあの犬が好き
(2008/10)
シャロン クリーチ

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『ハートビート』と同じく、こっちも詩のかたちで書かれた作品。いやー、よかったなあ。『ハートビート』とこれと、買ってしまおうかしらと思うくらいである。
詩なんかオンナの書くもんだ、オトコは書かない、というジャック。
短く書けば詩になるんだと考えるジャック。
自分が書いたものは「こんなの詩じゃない」って思われたらいやだから、掲示するのはいいけど、ぼくの名前は書いちゃだめだと言うジャック。

オンナの書くものかどうかは別にして(文学と同じで、詩にしてもオトコの詩人のほうがよほど世に出てるような気がするし)、ジャックの気持ちは、わかる!

小学校の頃に、詩を書く授業があった。
たぶん「書く」まえに、教科書に載ってるのや、センセイが本か何かから読んでくれたのや、いろいろと「詩」を「鑑賞」もしたのだと思う(ぜんぜんおぼえてないけど)。
そのあとで、詩を書きましょう、という時間があったのだったと思う。

詩とは何なのか、詩というかたちは他のかたちで書くものとどう違うのか、そんなのはぜんぜんわからなくて、私はジャックとおなじように「短く書いたもの」と思っていた。

いまでも思い出すのは、何を書いたものやら…と、「詩を書きましょう」の時間中、教室の窓の外を見ていたことである。雪が降っていた。その降る雪をしばらく眺めていると、窓の枠の向こうに見える雪が、手前と向こうとで違う降りかたやなあということに気づいた。雨や雪の降るさまを絵にかこうとすると、線をしゃっしゃと何本も引いたり、まるいものをやはり並べてかいたりすることが多いが、よくみると、こんな風に降っているのかあと思ったような気がする(授業内容のことはまったくおぼえてないのに、この窓の外の雪をみていたことはよくおぼえているのである)。

「詩」といわれて何を書いたものやら困っていた私は、授業時間の終わりごろに、そそくさと短い「詩のようなもの」を仕上げた。きっともう捨ててしまって実家にも残ってないだろうけど、窓の外の雪のことをかいたのである。あれは4年生のとき、今から30年くらいまえのことである。

自分の書いたものを「あれは詩じゃないよ」というジャックの気持ち、「こんなのは詩じゃない」とほかの子に思われたらいやだからと自分の名前を入れることを拒むジャックの気持ち、よくわかるなあと思う。

ストレッチベリ先生は、「あれは詩じゃないよ」というジャックに、彼が書いたものを掲示してみんなに見せながら、ジャックにも他の子たちにも、こういうのも詩だよ、こんなのも詩だよとみせたのだろう。
カッコイイ!と思った詩をマネして書くのも詩、ことばで絵をかくのも詩。

この本には、ジャックの章と、「ストレッチベリ先生が読んだ詩」という章がある。
ジャックがすごく気に入ったウォルター・ディーン・マイヤーズさんの「あの男の子が好き」という詩の第一連も引用されている(p.136)。ジャックはこのウォルター・ディーン・マイヤーズさんの詩に感動して、この詩のまねをして「あの犬が好き」という詩を書いたのだ。それが、本のタイトルにもなっている。

そして、ウォルター・ディーン・マイヤーズさんがジャックの学校に、ジャックたちの教室に来てくれることになった!

ウォルター・ディーン・マイヤーズさんがこう言ってくれたときに、ジャックはいちばんうれしかったと書く。
▼「うれしくてしょうがないよ。
 ほかの人が
 私のことばをつかってくれるなんて。
 それも、こんなことばをつけてくれたって?
 『ウォルター・ディーン・マイヤーズさんの詩に感動して』」(p.118)


私は「詩」はきらいではないのだ。この本も、『ハートビート』もよかったなあと思うし、詩集と名のつく本は本棚の見えるところだけでも20冊くらいあるし、詩の朗読のCDや詩のボクシングのCDまでもっているくらいだ。

しかし、「詩」を書きましょうというあの授業で、(何を書いたものやら)と思い、困惑したことも忘れられないのである。

ちょっと手元の『広辞苑』を引いてみる。
▼詩
文学の一部門。風景・人事など一切の事物について起こった感興や想像などを一種のリズムをもつ形式によって叙述したもの。押韻・韻律・字数などの律格あるものと、散文的なものとがあり、また、叙事詩・抒情詩・劇詩などに分ける。


一種のリズム。
そうかもしれない。
この本の、「ストレッチベリ先生が読んだ詩」という章にある、S・C・リッグの「りんご」という詩(p.135)が、これまたイイ。こんな詩もある!とわくわくする。これを訳した金原瑞人もすごい。
 
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乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在91号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第65回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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