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ハブテトル ハブテトラン(中島京子)

図書館でリクエスト待ちしていた中島京子の新しい本!

ハブテトル ハブテトランハブテトル ハブテトラン
(2008/12)
中島 京子

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なんといっても「松永」の話で、中島京子!というので、詳しいことはぜんぜん知りもせぬまま、わくわくと待っていた。(「松永」には父方のイトコがいて、私も小さい頃からときどき遊びにいったところなのである。)
タイトルになっている「ハブテトル」「ハブテトラン」という備後弁にはおぼえがなかったけれど、松永のあたりの言葉はわかるので、主人公ダイスケの周りの人たちの話が、読んでいて耳に聞こえてくるようで、じつになつかしい。田辺聖子が書いてみせる大阪弁に似て、中島京子も備後弁をうまく書いたものだと思う。

ちなみに「ハブテトル」とは、本のカバーの袖にこう書いてある。
▼「ハブテトル」とは備後弁で
 「すねている、むくれている」という意味。
 「ハブテトラン」は否定形。

私がわからんからおぼえていなかっただけで、イトコのところで遊んでいる間に聞いたことがあるのかもしれない。

物語は、5年生のダイスケが、東京の学校で、ちょっと行けなくなってしまって、2学期を松永の小学校ですごす、その2学期の話である。

まずもって、広島空港についたダイスケは、じいちゃんとばあちゃんの代わりにハセガワさんの出迎えを受けることになる。
「でゃーすけ、いうんは、おみゃーか?」
「こまきゃーことはええけえ。行くぞ、でゃーすけ」

このハセガワさんは、ダイスケの松永での友だち(?)、ナナメの関係の大人として登場する。ダイスケのばあちゃんの幼馴染みという設定。

田舎の小学校はどうか、行けるか、友だちはと少々案じていたダイスケは、思いのほかすんなりと松永の小学校でやっていけた。
「なに見ょうるんじゃ、ダイスケ。そりゃあ、いけんわー」
「ダイスケ、おまえ、ぶちエッチじゃのー」

私が全然知らなんだ「ゲタリンピック」も、ほんまにある行事らしい。
そう、松永は下駄の産地で、駅近くには「はきもの博物館」もあるのだ。

ダイスケのじいちゃんは、下駄職人。下駄づくりの話を読んでいて、そういえば『はだしのゲン』の、ゲンのお父ちゃんも下駄をつくっとられたなあと思い出す。

楽しかった2学期をすごしたダイスケは、3学期は東京へ戻った。
▼ぼくがあっさり東京に帰ったことを、不思議がる人もいるかもしれない。あんなに楽しいばっかりの松永なのに、どうして帰る気になったんだろうって。
 一つは、パパやママと離れてるのがもう限界だったってこと。もう一つは。もう一つはなんだろう、理由はいろいろある気がする。…(中略)…
 春までは、なにかの中に閉じ込められて、息ができなくなった気がしてたんだけど、気がついたら穴がぷすぷす開いてたみたいな感じ。
 まあ、三学期くらいだったら、東京でやってみてもいいかなと思っただけの話だ。
 ママはぼくがちょっとオトナになった気がして、うれしいけどさびしいとか、わけのわかんないことを言った。
 何を心配してるのか知らないけど、そんなに簡単にオトナになんか、なる気はないね。(pp.247-248)

いやー、ほんまにおもしろかった。
笑いながら読んだ。

松永は、広島県福山市で、新幹線の停まる福山駅から山陽本線で広島方面へむかって2駅め。海へ向かうとポニョで有名(?)になった鞆の浦へ出る。向こうでは「鞆」とよばれる。
中島京子が、友人の暮らす松永に「里帰りのように通ううちに」できたというこの作品、「桂馬」のちくわとか、しまなみ海道とか、そう!そう!そう!と、向こうを知る私には物語がより立体的に感じられるが、松永を知らなくても、もちろん楽しめる物語。
 
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乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在91号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第65回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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