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いらっしゃいませ(夏石鈴子)

夏石鈴子の小説はけっこう好きである。
こないだ、あさのあつこの『ほたる館』シリーズのポプラ文庫の装画が霜田あゆ美で、こりゃ夏石鈴子の『いらっしゃいませ』(文庫のほう)の装画の人でもあると気づき、それで思い出した『いらっしゃいませ』が、ぶらりと立ち寄った古本屋にあったので、また読みたいと買ってしまった。

いらっしゃいませ (角川文庫)いらっしゃいませ
(2006/03)
夏石 鈴子

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図書館に単行本があるのは分かっていたが買って帰ってその日のうちに読んでしまった。
久しぶりに読んだ『いらっしゃいませ』は、しみじみとよかった。
主人公・鈴木みのりが、会社へ入って、さいしょに配属された受付での新人時代を書いた話だ。夏石鈴子は、みのりやその同僚や受付に来るいろいろな人たちを描くなかで、たとえば

▼受付には「早番の人がする仕事」と「気が付いた人がする仕事」がある。(p.109)

と書く。そして、その仕事を意図的なのか気づかない振りをするのか、とにかく「しない」人のことがさらさらと書かれる。

私はこのあたりを読みながら、これまでの職場で見たことのある「自分の机の上の電話をとらない人」や、「“気が付いた人がする仕事”を絶対しない人」や、「“当番ですることになっている仕事”をまったくやらない人」を思い出す。

こういう人は、自分が気が付かないのか、それは自分がする仕事ではないと思っているのか、ただのバカなのか、なんなのだろうと私はよく思った。だいたい、そういう人に限って、仕事をしているように見せかけて、パソコンでゲームをしていたり、ふらふらとネットサーフィンをしていたり、私用のようなメールを書いたり、そうでなければ居眠りしているのである。しかも、そういう人に限って、課長とか部長みたいな役付きなのだ。こういう人は、鈍感だからこそ役付きになれるのだろうかと考えたこともある。

鈴木みのりも、そういう同僚に入社3カ月にしてうんざりしている。「いろんなことをちゃんとやって欲しい」と思い、気が付いて仕事をきちんとする別の同僚に「あの人、どうしたらちゃんと働くんですか」と言ってみたりもする。

そして、ある日みのりは、すっきりしたのだ。

▼…「そういう人」なのだ。本当は、どういう人なのか全然わからないけれど、なんだか、もうこれ以上はいいや、という気持になってきたのだ。世の中にはいろんな人がいるのだし、それでたまたま四人しかいない職場に、それこそ大当りの変な人がいるということで、手を打とうじゃないか、という気になった。好きな人に好かれるより、嫌いな人に嫌われてこその自分だと、乱暴に心を決めたら、あっと驚くほどすっきりしたのだ。(pp.163-164)

夏石鈴子を、またちみちみと読みなおしたいなーと思ったのだった。
 
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乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在92号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第67回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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