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三春人形

三春人形
坂本万七(撮影)
小沢太郎(編著)
東峰出版
\4800
1964年

中川善之助の『民法風土記』の文庫が見当たらないからと図書館で借りてきた親本には、目次の脇に、函の図版は坂本万七撮影の三春人形と書いてあった。図書館のことなので本の函は残っていないが、どういうものがこの本の函にあったのか興味津々で「坂本万七」「三春人形」をたよりに図書館で他館相貸で借りてくる。

奥付には「限定1,000部発行のうち本書は No.142」とある。

本の前半には三春人形の図版(原色版=カラーと、単色版=モノクロ)があり、後半には「三春人形覚え書」「三春人形について」「三春人形と私」というテキストが収められている。単色版の図版には、人形だけでなく、木型もある。

中川善之助の本の函につかわれたのは「春駒」という人形だったらしい。
原色版にひとつ、単色版にひとつ、それぞれ「春駒」という人形がのっているが、どっちだろうか…。

原色版の「春駒」については巻末の解説にこうある。

▽春駒の人形は多いが、これが造形的にもっともよろしい。たづなの破損は、大事な部分なので大変残念である。顔の表情は生き生きとして楽しげである。(p.149)

単色版の「春駒」はこう記されている。

▽原色版の名和氏の春駒に比べ、多少時代の下ったことを示している。右手の竹は春駒をつけたものであり、ここから右手まで厚紙の手綱があったものである。顔の向きが駒と対称的であることが佳い。(p.153)

三春人形は、福島の三春でかつてつくられていた張子の人形である。巻頭の「三春人形讃」という武井武雄のテキストによるとこういうものだ。

▽…全くかつての日本の郷玩は尤玩名玩に溢れていたが、その中でも特筆したいのがこの三春人形である。三春駒の名は知る人が多いのだが、張子の方は存外に知られていない。これ等の名作は概ね過去の遺産だからである。
 張子は型に貼って抜く関係から造形的には極度に単純化され、動きは殆どなくて安定感だけが強調される気味がある。達磨などがその代表的なものである。ところが三春人形だけはこの制約にとらわれる事なく自由にのびのびと優雅な肢体に美しい律動を描き出している点で一寸張子の仲間に類例のない個性をもっている。そしてその平和な円みと適度の甘さとが人を魅了せずにはおかないのである。…(巻頭)


福島へは二度行ったことがあるが、三春は未踏の地。
梅と桃と桜が一度にひらくという三春。
春の福島はたしかに、水仙かられんぎょう、桜にツツジまで、西日本であれば三月から五月にかけて順に咲くものが、いちどきに開花していて、春がいくつもきたようであった。
 
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乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在92号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第69回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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