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「その日暮らし」の人類学―もう一つの資本主義経済(小川さやか)

小川さやか『「その日暮らし」の人類学―もう一つの資本主義経済』光文社新書<br />
小川さやか『「その日暮らし」の人類学―もう一つの資本主義経済』光文社新書

▼先がどうなるかわからないことは、新しい希望にあふれているとも言えるのに。(p.9、「はじめに」)

ぎゅうぎゅうに詰まったような時間から、しばし解放されると、こういうタイトルの本が読みたくなる。ぎゅうぎゅうで身動きがとれないと感じているときにも、やはりこういう"先がどうなるかわからない"感じの本が読みたくなる。
計画とかスケジュールを立てて、それをこなしていくことはできるけれど、そういうやり方をがんばりすぎるとアブナイことは経験的にわかる。15年くらい前、数ヶ月ぎゅうぎゅうと働いた挙げ句、ある日涙がとまらなくなった。その職場をソッコー退職し、半年ほどぽかんと過ごした(それで復活)。

▼目標や職業的アイデンティティを持たず、浮遊・漂流する人生はわたしたちには生きにくいものにみえるが、タンザニアの人びとはこうした生き方がもたらす特有の豊かさについて語る。それは、職を転々として得た経験(知)と困難な状況を生きぬいてきたという誇り、自分はどこでもどんな状況でもきっと生きぬく術を見出せるという自負であり、また偶発的な出会いを契機に、何度も日常を生き直す術であった。Living for Todayであるピダハンにも、タンザニアの人びとと同じく自信と余裕があった。生きているということだけを根拠にしているような余裕と自信が。(p.217、「エピローグ」)

"先がどうなるかわからない"ことに、あまり不安をおぼえることがない。"どうにかなる"と思えるのは、それなりに転々として、いろいろやってきたからかなーと思う。"次は何をするのがオモロイかなあ"などと考えもする。この感覚も、また変わるのかもしれないが。

▼文化人類学はこの世界に存在する、わたしたちとは異なる生き方とそれを支える知恵やしくみ、人間関係を明らかにする学問である。わたしたちの社会や文化、経済それ自体を直接的に評価・批判するよりも、異なる論理・しかたで確かに動いている世界を開示することで、わたしたちの社会や文化を逆照射し、自問させるという少々回りくどい方法を採る学問ともいえる。(p.25、「プロローグ」)

自分の知ってる「フツウ」とは違う世界があることを、一冊の本からも垣間見ることができる。

(2018/6/11了)

小川さやか『「その日暮らし」の人類学―もう一つの資本主義経済』光文社新書<br />
小川さやか『「その日暮らし」の人類学―もう一つの資本主義経済』光文社新書


そのうち読みたい本。
エヴェレット『ピダハン―「言語本能」を超える文化と世界観』みすず書房
エヴェレット『ピダハン―「言語本能」を超える文化と世界観』みすず書房

ルッツ『働かない―「怠けもの」と呼ばれた人たち』青土社
ルッツ『働かない―「怠けもの」と呼ばれた人たち』青土社
 
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乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在90号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第56回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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