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住宅喪失


住宅喪失
島本慈子
\735
ちくま新書
2005年

島本の本を続けて読んでいる。
「雇用」と同様、「住宅」についても、政策がおかしな方向へむかいそうになっている。

▽…あえて簡単にいおう。九八年当時の日本は、「みんなが家を買うことで、国の景気をよくしましょう」という政策をとっていた。現在の日本は、雇用の流動化を進め、国民の間に貧富の差を拡大し、「家を買える人にはどんどん買ってもらい、買えない人には“家賃を支払う存在”として経済に貢献してもらいましょう」という政策をとっている。
 かつての持ち家政策が良かったとは言わない。しかし、少なくともそこに「弱者切り捨て」の発想はなかった。けれどいまは、恥じることなく公然と、弱いものを利用するだけ利用して強いものがさらに強くなるという「弱肉強食」の論理が語られる。(8p.)


「家がほしい」「マイホームがほしい」という感覚や、何十年ものローンを背負って生きるということを私はずっと理解できずにいたのだが、やっと分かった気がする。
「追い出される心配なく住める場所」「安心していられる自分の場所」「精神的な保険」だという理由。

ただ、家をもつことは高い買い物だから、ローンを背負えるかどうかも、今は「働き方」によって怪しくなっている。派遣や契約で働く人たち、自営業で食べている人たちは、銀行の融資をまず受けられない。あるいは、受けられたとしても、常用雇用や終身雇用で働く人に比べて、高い利率を適用される。リスク回避のためである。

一方で、不安定な雇用である人ほど、切実に住まいを欲しいと願う様子が書かれている。


雇用形態と住宅ローンについて、土地や住宅の値段について、公営住宅について、借家で安心して住めるかどうかについて、分譲マンションでの区分所有法の改正について、地震と住宅について・・・・・読んでいくと、不安になると同時に、こんな立法が、政治がおこなわれているのかと腹が立ってくる。

その腹立ちは、選挙での投票率の低さや、国会への関心の薄さにもむかう。
島本は、自分たちが生きて、住んで、食べて、働くこと、そういう何もかもに国会での議論とその結果の立法が関わっているのだと、もっと国会に関心をもち、投票率があがってほしいと強く願っている。


補章では、5つの政党に依頼した「住宅に関するアンケート」の、各党からの回答が、そのまま掲載されている。少なくとも「住むこと」に関して、どの政党の意見が自分の意見に近いのか、よくよく確かめておこうと思う。


読みすすめながら、請負という働き方が、労働者の統計に入らないことに気づいた。「見えているもの」「見えないもの」「見えなくされているもの」に注意していなければと思う。
 
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乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在91号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第66回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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