読んだり、書いたり、編んだり 

4月に読みおわった本

4月に、てっぺんから最後まで読んだ本のリスト。今月は、上旬はジャック・ロンドンを読み、中旬は金井真紀さんを読み、先月に引き続き獅子文六を読みふけった合間に、他のいろいろを読んだ。

ジャック・ロンドンは、2月に読んだ『許されざる者』(辻原登)のなかで登場したばかりか、書いた小説『荒野の呼声』も出てきたのだった。その名が、3月に読んだ『言葉はこうして生き残った』(河野通和)で紹介されていた『パンとペン』(黒岩比佐子)の話のなかでふたたび現れた。そこでは堺利彦のことが「エミール・ゾラからジャック・ロンドンまで海外文学の優れた紹介者であり、翻訳の名手」云々と書いてあって、これは読んでみたい、しかも堺利彦訳で!と図書館にレファレンスを頼んだら、昭和七年に春陽堂から出た本を写真製版で復刻したのが届く。

むかしの印刷のわるい本を、写真製版でちょっと拡大して印刷しただけの、旧字旧仮名遣いの本で、(読めるかなあ)と思ったが、これが読み始めたらおもしろくて、電車で居眠りもせずに読む。タイトルは『野生の呼聲』(ページの柱も奥付もこのタイトルなのに、なぜかこの春陽堂版の表紙タイトルは「野生の叫聲」になっていた)。

ジャック・ロンドンのこの小説は、他にいくつも訳が出ていて、岩波文庫の『荒野の呼び声』も読んでみた。光文社文庫の訳本『野生の呼び声』も途中まで読んでみた。訳者の解説などに、ジャック・ロンドンの生涯が語られてもいて、それを読んだら、あの『許されざる者』をもう一度読みたくなった。
金井真紀さんの本『はたらく動物と』は、西川さんの『遊びの生まれる場所』の版元(ころから)サイトをのぞいて知り、読んでみたらおもしろかった。絵も文章もええなあと、さかのぼって金井さんの本を2冊読み、それからもう一度『はたらく動物と』を読む。自分の「はたらく」のことも考えたりした。

獅子文六は、この数年のあいだにちくま文庫で出たものをついに全部読んでしまった。これはどれも「戦後」に書かれたもので、戦後の暮らし方や、老若男女の意識の変化などをビビッドに感じるだけでなく、1950年代や1960年代の言葉づかいや風俗も垣間見え、その点でもおもしろかった。それから、自伝的小説『娘と私』で言及されていた「戦中」の作『海軍』を読んでみた。これは筆名の獅子文六ではなく、本名の岩田豊雄で書いたものだという。「獅子」のものも、「岩田」のものも、もうちょっと読みたいと思う。

この1か月は、ヒンヤリする日と汗ばむ日が交互にあって、だんだん気温の日較差が大きくなってきたら、朝や晩はヒンヤリするのに、昼間は汗を拭くという日もあって、季節の変わり目はカラダに堪えるなぁと思った。

父の調子は良いとはいえず、痩せすぎのせいか家の中でも外でも何度も転倒したといい、気をもんだ。つい父の生活ぶりに幾度か口を出し、そんなところへ友だちからまわってきた『老乱』などを読んで、父の一人住まいにはやはりヘルプが必要なのではとつくづく思い、一方で口を出しすぎたかと反省もした。「自分一人でなんとか生活できている」という父の認識に、ヒビを入れる必要があるのかもしれない。親を見送り、親を介護してきた先輩方の経験談は、身につまされる。

母が死んで18年が経ち、伯母が亡くなって1年が経とうとしている。ヨタヨタの父を妹と両脇かためて法事に出かけ、18年前よりはるかに、そして1年前よりもずっと、父がヨレヨレになったことを実感する。職場の変化のことよりも、父のことが気になるばかりだった4月が終わる。

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○こだま『夫のちんぽが入らない』扶桑社
○川上弘美・選『精選女性随筆集12 石井好子・沢村貞子』文藝春秋
○獅子文六『海軍』中公文庫
○西加奈子『i (アイ)』ポプラ社
○獅子文六『コーヒーと恋愛』ちくま文庫
○金井真紀・文と絵『はたらく動物と』ころから …もう一度
○大崎梢『だいじな本のみつけ方』光文社文庫
○柴田愛子・文、伊藤秀男・絵『けんかのきもち(からだとこころのえほん)』ポプラ社
○金井真紀『酒場學校の日々―フムフム・グビグビ・たまに文學』皓星社
○獅子文六『娘と私』ちくま文庫
○青山誠『あなたも保育者になれる―子どもの心に耳をすますための22のヒント』小学館
○獅子文六『七時間半』ちくま文庫
○金井真紀・文と絵『世界はフムフムで満ちている―達人観察図鑑』皓星社
○若松英輔『言葉の贈り物』亜紀書房
○西川正『あそびの生まれる場所―「お客様」時代の公共マネジメント』ころから …もう一度
○堺アルフォンス・ミュシャ館協力『ミュシャのすべて』角川新書
○外山滋比古『自分の頭で考える』中公文庫
○獅子文六『悦ちゃん』ちくま文庫
○金井真紀・文と絵『はたらく動物と』ころから
○辻村深月『東京會舘とわたし (下)新館』毎日新聞出版
○辻村深月『東京會舘とわたし (上)旧館』毎日新聞出版 …再←下巻と間違えて持って出てまた読んだ
○ジャック・ロンドン(海保眞夫訳)『荒野の呼び声』岩波文庫
○辻村深月『東京會舘とわたし (上)旧館』毎日新聞出版
○ジヤック・ロンドン(堺利彦訳)『野生の叫聲』ゆまに書房(昭和初期世界名作翻訳全集 197)
○西川正『あそびの生まれる場所―「お客様」時代の公共マネジメント』ころから
○椹野道流『最後の晩ごはん 黒猫と揚げたてドーナツ』角川文庫
○竹信三恵子『正社員消滅』朝日新書

(映画)
『HK 変態仮面』(DVD)
 
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Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第40回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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