FC2ブログ
 
読んだり、書いたり、編んだり 

道遠くとも 弁護士相磯まつ江 法律を、弱者のために使おう


道遠くとも 弁護士相磯まつ江 法律を、弱者のために使おう
川口和正(編著)
\1,890
コモンズ
2008年

こないだ読んだ『迷える娘と励ます母の往復書簡』の、母のほう、1922年生まれの弁護士・相磯まつ江の、弁護士になる以前の日々と、法律家を志して司法試験に合格し、弁護士として担当したいくつもの事件について、その訴状や弁護の内容をまとめたもの。

砂川基地拡張反対闘争や朝日訴訟のほか、国会乱闘事件、安保と在日米軍問題、働くものの暮らしを守った訴訟、男女平等の実現のために動いてきた内容は、教科書や資料集で「こんな事件がありました」と読むだけでは分からないことがいろいろあり、その訴訟の場で弁護に立ち、あるいは考え方を論じてきた相磯まつ江の熱さが見えるようで、こういう権利獲得のうえに、今があるのだなーとあらためて思った。

まつ江と姉妹たちは、女に教育は必要ないと言われた時代に、父の考えや行商で学費を稼ぐという母の知恵と実行力によって、みな高等女学校へ進んだ。
まつ江はさらに大学へ行きたいと願ったが、父には「女にこれ以上の学問はいらない」と言われ、いったんは教師として勤めるが、大学へ行きたい思いはやみがたく、一方で教師の仕事は自分に合わないと思い、職を辞した。

その後、一度目の結婚では追い返され、二度目の結婚では(当時はそんなものだったのかもしれないが、今からみれば)壮絶なヨメいびりで追い出される。「ヨメは家具と同じ、気に入らなければ取り換えればよい」と言う姑であり夫だった。
まつ江には自分の経験を含めて書いた、半自伝的な『結婚と離婚』という本があるという。

まつ江はふたたび教職をつとめながら、夜学の高校、短大と通ったのちに、大学の法学部に編入学し、法律家をめざして司法試験にむけて一年余りの勉強に励んだ。


娘との往復書簡を読むだけでは、こんな半生は分からない。
今も現役の弁護士として活動する人の若い頃の「勉強したい」という思いの前にあった壁、二度の結婚でくるしめられたこと、それは「女だから」ということだった。

そういう世代の人にとって、新しい憲法や新しい民法は、どれほど輝いてみえただろうか、と思わされる。

(3月30日読了)
 
Comment
 
 






(編集・削除用)


管理者にだけ表示を許可
 
Trackback
 
 
http://we23randoku.blog.fc2.com/tb.php/595-bf020b3d
 
 
プロフィール
 
 

乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
    乱読ブログバナー
本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在92号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第69回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

amazonへリンク

 
 
最新記事
 
 
 
 
最新コメント
 
 
 
 
カテゴリ
 
 
 
 
Google検索
 
 


WWW検索
ブログ内検索
Google
 
 
本棚
 
 
 
 
リンク
 
 
 
 
カウンター
 
 
 
 
RSSリンク
 
 
 
 
月別アーカイブ