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嶋崎吉信・清水直子『がんばれ美術館ボランティア』淡交社

▽…ボランティアは、自由な意志によって主体的に志願/参加し、他者…のためにする行為、または行為する人、と私は理解しています。自由な意志を持って主体的に考える人はその仕事の改善すべき点に気づくでしょうし、新たな提案もするでしょう。しかし…組織が未成熟でその主体性が確立していないと、そのような意志ある提案に柔軟に対応し、それを美術館の力としてゆくことはできません。…
 …ほとんどの場合、美術館はボランティアを教育普及活動の一環として位置づけています。美術館という施設の性格や役割を考えると、市民を教育したくなる意識もわからなくはありません…。けれども、はじめからそのように位置づけることには、ボランティアというものに対する誤解、または言葉の意識的な誤用があると言わなければなりません。
 …このようなボランティア認識から見えてくるのは、ボランティアは美術館にとってともに活動するスタッフ(身内)ではなく、あくまでも「対象」「お客」だという考え方です。たしかに無給労働の側面はあるために、志願者の動機づけとして「ボランティア」という語をやや強引に用い、しかし彼らを身内として受け入れるのではないという一線を確保するために教育普及活動という括りにしている……と深読みしたくなるのは私だけでしょうか。…
 またボランティア自身にも、たとえばギャラリーガイドとして採用されるまでには長期間にわたるかなり密度の濃い研修があるために、無料のカルチャースクールとして自己の教養を磨くような意識が第一にないとは言えない…。そうした自己研鑽の段階にとどまっているならば、それはまさに教育普及活動の対象者であって、自由意志による主体性をもったボランティア、他者のためにする行為者とは言えません。またそのようにして磨かれた教養とともにボランティアとしての意識がいっそう高まっても、美術館は彼女/彼をスタッフとして認識していないために、その高まりは行き場を失い、自己充足のままに霧散することになります。
 美術館のボランティアは、美術館とボランティア双方における「ボランティア」についての(意識的な?)誤解の上にかろうじて噛みあっていると言えます。「美術館のボランティア」の受益者は、まずボランティア自身、そして場合によっては学芸員かもしれないという、不思議なボランティア像がここに見て取れます。…(14-16ページ)
 
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乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在91号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第65回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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