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内田樹『街場のアメリカ論』NTT出版、2005年

内田樹『街場のアメリカ論』NTT出版、2005年

▽性意識というのは「背が高い」とか「鼻が丸い」とかいうのと同じように、自分ではどうしようもない「所与の条件」であり、私たちにできることは、その自分がそこに産み落とされた条件をどうやって「あまり気にしないで」暮らしてゆくか、ということでなないかと思うのです。
 「背の高い」人が、みんなが何よりもまず自分の背の高さに注目しており、自分のあらゆる言動は「背の高さ」という条件づけとの関連において解釈されているのだ…と思い込む姿って、ちょっと悲しくありませんか?
 「ヤマダくん、あの本取って」「背が高いから、取りやすいだろうと思うの?」「ヤマダくん、スズキどこにいるか知ってる?」「背が高いから、遠くまで見えると思うの?」「ヤマダくんてバスケうまいね」「背が高いから、どんくさくてもシュートできると思うの?」…なんて言い出したらきりがありません。
 でも、性意識の強い人というのは、少しそんなヤマダくんに似ています。自分の言動についてのどのようなコメントも、どのような評価も、すべては自分の性に関連づけて解釈する人の不自由さを私は少しもよいことだと思いません。…(189-190ページ)

 …ジェンダー・スタディーズの教室ほど「男とはどういうものか」「女とはどういうものか」についての規範的言明が口にされる場所はありません。ジェンダー構造について批判的に言及する場合でも、語られることばのほとんどが「男らしい」とはどういうことか、「女らしい」とはどういうことかをめぐっている。その結果、ジェンダー・スタディーズを学習したことによって、社会問題のあれこれが性的含意を持つものとして見えてきて、周りの人の言動のひとつひとつが自分の性についての言及のように思えてくるようになる。そんなふうにして、四六時中、「性」のことばかり考える人間を作り出すことが、「性差からの自由」を実現したのか、「性差への固着」を実現したのか、私にはよくわかりません。(191-192ページ)
 
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乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在91号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第66回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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