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自閉っ子におけるモンダイな想像力(ニキ・リンコ)

ニキ・リンコという名前はいつの間にか知っていたけど(いくつも訳本があるからか)、この人の自閉っ子方面の本を読むのは初めて。

自閉っ子におけるモンダイな想像力自閉っ子におけるモンダイな想像力
(2007/06)
ニキ・リンコ

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図書館で借りてきて、ちらっと見ると、行間が広く、字がでかい。
こういう体裁は自閉っ子が本を読むにはベターということだろうか…と考えたりしながら読む。
本のカバー袖にある著者紹介によると

▼翻訳家。30代でアスペルガー障害(知的・言語面での遅れを伴わない自閉症スペクトラム)と診断される。…(後略)

という人である。

本の「はじめに」には、まずこう書いてある。

▼自閉症スペクトラムの人たちには、「三つ組の障害」があると言われているんだそうだ。
 そして、「三つ組の障害」とは、「社会性の障害」「コミュニケーションの障害」「想像力の障害」のことなんだそうだ。
 でも、「想像力の障害」って言われて、意味、わかります? 私は最初、わからなかった。
 それに、「想像力の障害」という表現は、どうも誤解の元になりやすいと思うのです。
 …[中略]…
 じゃあ、「想像力の障害」とは何かって?
 それはですねー。

 「想像力が、世俗の役にたってくれない障害」じゃなかろうか。

 どんなふうに役にたたないかは、この際、関係ない。たしかに、想像力がなかったら、ないものは役だってくれなかろう。でも、想像力があっても実用にならないなら、やはり想像力の障害だ。さらには、スカタンな想像のせいで生活に支障が出るなら、「想像力が障害になっている」とさえいえる。

 1 想像が足りない
 2 想像がまちがっている
 3 想像が過剰

 どれも、障害(ハードル)になる。
 「障害」という響きがいやなら、「想像力のモンダイ」と言いかえてもいい。…[後略](pp.7-10)

で、この本は、「想像力のモンダイ」問題に取り組むのである。自閉流情報処理の特徴、どこでどうなって「世俗の役にたたん想像力」を駆使することになるのか、モンダイな想像力のおかげでどういう困りごとがあるか…など。

私は、順行の想像力と逆行の想像力の違いの話に、そうかー!と思った。なるほど、そういう想像力のクセがあったら、ちょっとめんどくさいときがあるやろう。

▼よく、私たちは「人の気持ちがわからない」とか言われるが、人の気持ちが「わかる」というのにも、順行の「わかる」と逆行の「わかる」がある。

「こんなことをしたら、この人はどう思うだろう?」とか「この話を知ったら、この人は何と言うだろう?」とかいうのが、順行の想像力。

「こんなふうにしてあるのは、何を防ぐためだろう?」とか、「こんなことを言われるのは、前に何があったからだろう?」とかいいうのが、逆行の想像力。「ことばをそのまま解釈してしまい、本当の意図を見落とす」というのも、逆行想像力の弱さの一種だろう。(pp.66-67)

順行 : こんなことをする→(人がどう思うかな?)
逆行 : (何かしたっけ?)←こんなこと言われた
    (過去に何かあったのか?)←こんなことが表示してある

たとえば、商品の注意書きに笑って「あらへん、あらへん!」とツッコミたくなるような「ありえないこと」が書いてあったりする。逆行の想像力がそれなりにあれば、つくってる企業が訴えられないように(こうするな!と書いてなかったから、こうしたら変なことが起こってしもたやないか!と)厳重な配慮をしているのであろうとか、あるいは、そういうスカタンなことをして過去に誰かが怪我をしたとか死にかけたという例があったのかもしれぬと考える。

これが、逆行の想像力が弱いめのリンコ姫(幼少時のニキ・リンコ)風にいくと、たとえば「ネコを乾かさないでください」と電子レンジの使用説明書に注意が書いてあるのを読んで、(ネコはダメなのね、イヌはいいのかしら?)と考えるのだろう。

あと、「図書館での調べものが好きだった」という話が私にはツボでした。
花風社の自閉っ子シリーズ(?)はまだ何冊もあるようなので、もう少し読んでみようかと。
 
Comment
 
 
2009.06.30 Tue 11:52 乱読ぴょん  #vZbA1Su2
どちんさん、ようこそ~

「ある意味」やたらありますか?
別の意味では…
  [URL][Edit]
2009.06.29 Mon 16:57 どちん  #V7AZ2qgU
はじめまして。
「想像力が、世俗の役にたってくれない障害」・・・
ある意味、私もこれやたらあります。
  [URL][Edit]






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Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在91号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第65回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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