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ドミトリーともきんす(高野文子)

ドミトリーともきんすドミトリーともきんす
(2014/09/24)
高野文子

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「ブックマーク」83号でも紹介されていた漫画を、図書館でちょっと待って借りてくる。

お母さんの「科学の本棚」に並ぶ懐かしい名前は、朝永振一郎、牧野富太郎、中谷宇吉郎、湯川秀樹。100に近いくらい上の人たちだけれど、「会ってみたかったな」とつぶやくお母さん。「ただ、とっても偉い人達だから、お母さんは、あがっちゃって何も言えないと思うけれど。」「だけどもしもよ。彼らがまだ世に出る前の若者で、これまた不思議なことに、わたしたちのご近所さんだったとしたなら、」「こんにちは、ごきげんいかが?って、声をかけてみたいわ。」(p.19)

そうして、お母さんの空想はふくらんで、娘に語りかける。「たとえばあなたとわたしが、小さな下宿屋さんをまかなっていたとしてみましょう。」「お二階には科学の勉強をする学生さんたちが住んでいます。」(p.20)

「みなさーん。コーヒーがはいりましたよーっ」(p.20)と声をかけると、4人がトントントントンと階段を降りてくるのが聞こえてくる。

▼ふしぎだと思うこと これが科学の芽です。
 よく観察してたしかめ そして考えること これが科学の茎です。
 そうして最後になぞがとける これが科学の花です
                              朝永振一郎
 "科学する人たち"がいかにして科学の花を咲かせたか──
 彼らの視線のゆくえを、ノートや黒板の計算の跡を、
 そしてその言葉をたどること。
 朝永の他に牧野富太郎、中谷宇吉郎、そして湯川秀樹。
 日本の優れた科学者たちが残した言葉を、いま読み直すこと。
 わたしたちはそこから何を知り、気づき、立ち止まるのだろうか。(p.21)

そうして始まった空想の下宿屋「ドミトリーともきんす」のお話、それぞれの科学者の著作とからめた11話が描かれる。著作からの引用もあり、「ブックマーク」83号で書かれていたように「つづきをもっと読みたくなる」。

とくに読んでみたいと思ったのは、トモナガ君の「滞独日記」(『朝永振一郎著作集 別巻2 日記・書簡』所収)。ちょうど、『劇画ヒットラー』を読んでいたこともあり、朝永はナチス政権下のドイツに留学していたのかと気づいて。留学先はライプチヒ大学で、師匠はハイゼンベルク(『部分と全体』の人だ!)。

それとナカヤ君の書いたお話「簪を挿した蛇」と「イグアノドンの唄」(いずれも『中谷宇吉郎随筆集』所収)の中に、「百年前の子供と、七十年前の子供の姿がありました」(p.52)と紹介するとも子さん(お母さん)の言葉にも興味をひかれた。

最終話で紹介されている湯川秀樹の「詩と科学─子どもたちのために─」(『湯川秀樹著作集6 読書と思索』所収)もよかった。

巻末には参考資料として4人の写真や主立った著作が紹介されている。その写真をみると、うまいこと漫画で描いてあるなアーと思い、湯川秀樹と石井桃子は同年うまれやと思い…

高野文子はあとがきで、田中祥子さんという編集者さんとの出会いについて書いている。いつも鞄に自然科学の本を入れている田中さんから何冊か借りて読んでみたら、小説の読後感とは違って、「乾いた涼しい風が吹いてくる読書」なのが気に入ったそうだ。そこから、この漫画での読書案内の企画ははじまったらしい。

表紙カバーの袖にあるプロフィールで、高野文子が「看護師として勤める傍ら、商業誌デビュー」したと知る。この人が新潟出身だということは何かで知っていたが、看護婦さんやったんかぁ。

(3/9了)
 
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乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第44回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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