読んだり、書いたり、編んだり 

主婦の天気図(木村治美)

主婦の天気図(文藝春秋)主婦の天気図
(1979/01)
木村治美

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次号の「ブックマーク」を支度中。掲載予定のPさん(このミニコミを始めた人)の古文書がらみで、調査。木村治美のエッセイ集にまつわる引用箇所があり、しかし原稿用紙にはその本の題名が書かれていない(この原稿用紙に書いた時期も推測しかできない)…。

木村治美のエッセイで主婦モノ、読んだのはおそらく1983年の春頃、という手がかりをもとに、版元のサイトには"主婦論の原点"とか書いてあったし、図書館でこの本を借りて読んでみるも、ハズレ。Pさんが原稿用紙に引用している箇所と似たようなことは書いてあったが(「ブロンテ姉妹の牧師館」など)、同じではなかった。

しかも、図書館の本を読み終わって気づいたが、この本は1979年刊だった(その後に出た文庫版が1982年刊だったので、私の勘違い)。
木村治美といえば、そのむかし、コレット・ダウリングの『シンデレラ・コンプレックス』の抄訳を出していて、この原著については、後に柳瀬尚紀が全訳版を出した。私は柳瀬尚紀の本でエイゴの"受験勉強"をしたこともあり、木村訳と柳瀬訳のどっちも読んだ…ような気がするが、記憶が定かでない。

私の分類では、木村治美は、女性と男性はそれぞれにふさわしい役割があって、その違いはサベツではないのだ…という系統の論者。このエッセイ集でも、旅先の話を書いたところで、「女性解放論者は、主婦根性まるだしの、このわたしを軽蔑するでしょうか」(p.48)という表現を挟んで、「旅行という、家事万端から解放された状況で、夫の役割をみると、男って、かわいそうなんですよ」(p.48)として、旅先での重い荷物運びや、ホテルとの交渉や、チップの算段等々を男の役割としてあげ、自分は家事とともにこれらの仕事も平等に分担するのはごめんだ、「あの重いトランクなんて、一歩だって運べやしない」(p.48)としめくくっていたりする。

あとがきには、こんな風に書いてある。
▼私はこの本によって、主婦の価値とか立場を論じるつもりは、まったくないのです。この本が、そういうふうに読まれないことを願っております。
 主婦についての、私の意見らしい意見といえば、さまざまな人がいて、いろいろな考えがあり、それぞれの生き方を、ただひたむきに生きていけばよい、ということです。
 家庭の日常性のなかにあるドラマ、主婦のなんということもないこころの動きを、内側から、ていねいに見つめようとしたのが、この本のねらいです。しいて主婦論に結びつけられるのなら、それこそが、主婦論の原点ではないかと思うからです。(p.301) 

この本のもとは、1977年6月から1年3ヵ月にわたる、サンケイ新聞婦人面での同名タイトルの連載とのこと(当時は「サンケイ」とカナ書きだったのか~)。

息子と娘にことよせた話は、なかなかおもしろかったし、英文学者なだけあって、英語の詩を訳してみせているところ、その言葉の選び方にはなるほどーと思った。

とはいえ、新しい歴史教科書をつくる会だとか親学だとか、そういう方面へいって、夫婦別姓は家族を壊すといった主張もお持ちの木村治美は、私にはわざわざ読もうとは思わない書き手である。

装丁とカットは安野光雅。ネットで画像をみると、後に文庫版が出たときには、表紙に使われた絵の左下が折り上げられて、そこに文春文庫と入ったデザインになっているようだ。

(2/16了)

※文庫版
主婦の天気図(文春文庫)主婦の天気図
(1982/10)
木村治美

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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第41回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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