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希望は生徒 家庭科の先生と日の丸・君が代


希望は生徒 家庭科の先生と日の丸・君が代
根津公子
\1,785
影書房
2007年

『歌わせたい男たち』を読んだところで、リクエストして待っていた(ふだんは他市相貸ですぐ借りられるのだが、近所の図書館で購入することになったらしく)根津さんの『希望は生徒』が入った。

早速読む。

2004年の春に東京都では、君が代斉唱時の不起立や伴奏拒否で処分されたセンセイが250人もいた。根津さんもその際に処分されたひとり。

前年の2003年10月23日に、都教委から通達が出された(10.23通達、「入学式、卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱の実施について(通達)」)。

ここには日の丸・君が代の扱いについて、ことこまかに書いてあるそうで、「本通達に基づく校長の職務命令に従わない場合は服務上の責任を問われる」とあり、これを根拠に、その後の大量の処分がおこなわれている。

根津さん自身の日の丸や君が代に対する思い、考えはある。

ただ、根津さんが不起立を続けるのは、「君が代を歌いたくない」からではなく、たとえ、それが自分の好きな歌、好きなものであっても、【強制は、教育ではない】と考えるからである。

都教委は、処分についてこう言っているそうだ。

▽「起立する教員と起立しない教員がいた場合、児童・生徒は起立してもいいし、しなくてもいいと受け取ってしまう」「(全員が起立した)儀式で、会場全体が厳粛かつ清新な雰囲気につつまれることは…無形の指導となる」(裁判で被告都教委が提出した準備書面、二〇〇七年二月二日)…
(223p.)

都教委にとって「あれでもいい、これでもいい」というのは、あってはならない事態らしいが、根津さんがめざすものはむしろこれだ。

君が代が好きな人は歌ったらいい、君が代を歌いたくない人は歌わない、それぞれの異なる考えが尊重され、それぞれの考えをお互い表明できる場が教育の場であるべきだと根津さんは考えるからこそ、「起立すべきだ」と強制するのみで、その理由を全く示さない職務命令には従えない、立てないというのである。

それにしても、ほんとうにこわい。
東京で子どもを育てている人は…というだけでなく、異なるものを認めない、異なる考えを聴かない、言わせない、という雰囲気がつくられていっていることが。

根津さんのかつての教え子や、根津さんが「停職」出勤するのを見てきた教え子たちのなかには、こんなメッセージを根津さんに届けた人もいた。

▽「(停職中、校門前に)先生が立っていたことで、私はおかしいと思った時に人は立ち上がっていいんだと知りました。私はそう生きていきます」
(183p.)


残念ながら数カ所の誤字を発見。人名なのが、ちょっとまずい。

16p. (誤) 市川房江 → (正) 市川房枝
44p. (誤) 中沢啓次 → (正) 中沢啓治
223p.(誤) 西村眞吾 → (正) 西村眞悟
 
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乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在91号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第65回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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