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私は障害者向けのデリヘル嬢(大森みゆき)

私は障害者向けのデリヘル嬢(大森みゆき)私は障害者向けのデリヘル嬢
(2005/12)
大森みゆき

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男女共同参画センターの図書室へ予約本を取りにいったとき、新着コーナーにあったこの本が気になって、読んでみる。2005年刊の本だが、新着というのは最近購入したかららしい。2013年に8刷という本だった。

最初のところを読んだら、この著者の経験が、まるであの本の人みたい… 前に読んだ『失職女子。~私がリストラされてから、生活保護を受給するまで』の著者を思い出すようだった。

著者の大森みゆきさん(仮名)は、社会人1年目は契約社員、業績悪化で更新がなく、次に勤めたデザイン事務所ではクレーム対応でえらい目にあってウツになり、そこから必死の思いで転職した先が倒産してしまう。当時の状態を振り返って、こう書いている。

▼精神的にまだ完璧に元の状態とはいえない中、精一杯の力を振り絞ってした転職が、あっけなく終わった。前職からのショックと、今度は会社倒産のショック。
 逃げるように辞めたデザイン事務所は社会保険に加入していない小さな会社だった。そして、倒産した会社に勤めたのは4ヵ月。社会保険に加入している期間が半年に満たない私は失業保険がもらえなかった。
 すぐにでも働かないといけない。しかし、「じゃあ次を探そう、夢をつなげよう」というパワーが私には残っていなかった。どんなに眠っても抜け切れない精神的な疲れで、先を考えることもつらかった。(pp.23-24)
著者は知り合いのFさんの風俗店でソープ嬢になろうとした(このソープ嬢経験は、この本で主に書かれているデリヘル嬢経験とは違う)。Fさんには"ソープは最終手段だ"とかなり強く反対されたが、著者は聞き入れなかった。そのことは、このように記されている。

▼お金が、というのもあったが、もっと精神的なもの、とにかくなんでもいいから「稼ぎ口」がほしかったのだろう。無職でいるというのは、ひとり暮らしをしている身にとって相当な恐怖だ。
 風俗のアルバイト情報誌の広告で謳っているような、そんな月に何百万円などは稼げなくていい。ふつうに衣食住が安定した暮らしができて、その後、就職活動をしているあいだ暮らせる貯金ができれば。そして、実家に送金している月々の金額が今まで程度に確保できればいい。(pp.25-26)

著者が実家へ送金していたのは、父が倒れて障害者となり、母は看病に明け暮れ、妹は学生という状況で、入院費や生活費を稼ぐのは自分しかいなかったからだ。母と折り合いの悪かった著者は、どうしても帰りたくないとひとり暮らしをしながら、実家へ送金しつづけた。

▼途方に暮れた私が選んだ仕事が、風俗。転職活動に疲れきり、でも誰にも金銭的には甘えられないという中で、これしかないと決めた道。母には、「派遣で働いているが、給料はいい」といって、怪しまれない程度の金額を送り、後はいつなにが起こるかわからないからと貯金。実に質素な風俗嬢だったと思います。(p.221)

著者は、半年間ソープ嬢として働いたあと、派遣社員として働くが、その手取りから月1万円の「夢」に向けた貯金をしながら、いったいいつになったら夢を実現する金額になるのかと思う。少し副業で収入を得たいと考えた著者が、インターネットで見つけたのが障害者向けデリヘル嬢の仕事だった。(ソープは"本番"あり、逆にヘルスは"本番"は御法度)

この本の主なところは、このデリヘル嬢の仕事を通じて著者が見聞きし感じたことを綴った部分だろうし、そこはそこで、むむむぅーと思うことがいろいろあった。でも、今の私にとって一番印象に残ったのは、『失職女子。』もそうだったように、会社をクビになるとか倒産するとか、そういうきっかけであっという間に生活に困る事態に至ってしまうんや…ということ、精神的に追いつめられやすいということ。

「障害者の性」とか、「女性の貧困と性産業」とか、「性を業とすることの問題」とか、「買売春」とか、たぶんいろんな読み方ができる本だと思う。が、ちょっと古い本を男女共同参画センターがわざわざ新たに購入したのは、どういうココロかなーとも思った。

(1/26了)
 
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Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第42回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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