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国際貢献のウソ(伊勢崎賢治)

国際貢献のウソ国際貢献のウソ
(2010/08/06)
伊勢崎賢治

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伊勢崎賢治さんの新しい本、『本当の戦争の話をしよう』を読んでみたいと思い、ウォーミングアップに図書館でちょっと前の本を借りてきて読む。この人の名前をおぼえたのは、『使える9条』の「外交力のなさを、9条のせいにするのはフェアじゃない」※を読んだとき。

著者は、国際NGO、国連、日本政府を渡り歩いてきた"武装解除のプロ"である。

各章につけられているタイトルは、本のタイトルと同じで、国際貢献=エエこと、と何となく思ってるようなアタマには、ぐさーっとくる。一般に「NGO」とか「国際協力ボランティア」とか「国連」「ODA」といったものに持たれているイメージを、それは事実とはかなりちゃうねんでと著者は指摘する。各章のタイトルでも、それが分かる感じ。
 第一章 NGOという貧困ビジネス
 第二章 国際協力ボランティアという隠れ蓑
 第三章 国連というジレンマ
 第四章 ODAという無担保ローン
 第五章 自衛隊と憲法九条

たとえば冒頭で書かれる「矛盾だらけの人道主義。国際援助のPR材料として「人道主義」が使われるのはやむを得ないことかもしれないが、国家の侵略行為が「人道的介入」という言葉で正当化するとき、この両者の「人道」の区別がつかない。その分かりやすい例として、著者はアメリカのイラクへの武力侵攻をあげる。

▼アメリカのブッシュ元大統領は、サダム・フセインを人道に反する悪魔と規定し、それを糺す正義の名のもとにイラクに武力侵攻しました。その結果、多くの人の命が奪われました。人の命を奪うことは人道主義に反することですが、非人道的な指導者が支配する国ならばその国民の犠牲を顧みず攻撃してもよい、と「民主主義」の民意が判断する。正しいことのためには多少の犠牲もやむをえない、と民意が判断するようになる。イラクの場合は「多少」では済まなかったわけですが。こうなると、人道主義という思想そのものが矛盾を孕んでいることになります。
 でも、そういった「人道的介入」の結果、現地社会が破壊され、住民の多くが死傷するという「人道的危機」が生まれ、そこにNGOを含む人道的援助の活躍の場ができる。こういう「マッチポンプ」的な性質が、そもそもこの業界にはあるのです。(pp.19-20)

ほかにも、「「途上国は人材も技術も不足している」というのが、まず先入観としてある」(p.34)とか、「青年海外協力隊は採算性なんて度外視です」(p.63)とか、「国連はあくまでも官僚組織だ」(p.89)とか、「これまでの日本のODAを振り返ると、知恵を絞っていたとは言いがたい」(p.136)とか、"現代社会"や"政治経済"、あるいは"世界史"の教科書などでうすぼんやりと「世界」を学んで、青年海外協力隊や国連、ODAというものを何となくイメージしていた私には、ハッとするところが多かった。

この本をいちど最後まで読んで、そのあとにやはり伊勢崎さんの『紛争屋の外交論』を読んで、ちょうど映画「ミルカ」を見たり、シリアでの人質拘束の報道があったりで、もういちどこの本を読みなおした。伊勢崎さんが初めて関わったNGOでインドのスラムに入っていたという話や武装解除にあたったイラクの話などをじーっと読んだ。

さいごの章の「非武装自衛隊の可能性」というところは、人質事件の経緯をみていると、日本に対するイメージのよさ、「「軍事組織」を持っているのに、その武力をアメリカのために使ってこなかったという「印象」の上にも成り立っています」(p.195)と伊勢崎さんが書いていた日本への好印象は、もはや崩れつつあるのだろうか…と思いながら読んだ。日本の政権が積み重ねてきていることを見れば、それはそうだろうと思えるけれども…。

ほんの数年前に伊勢崎さんが"日本だからこそできる国際協力のカタチ"は、成り立たなくなっている、と考えるべき現状なのか。

(1/23一読、2/9二読)

※マガジン9条のサイトで、ほぼ同じものを読める
その1「外交力のなさを、9条のせいにするのはフェアじゃない」
http://www.magazine9.jp/interv/isezaki/
その2「平和を構築するために、まず「軍事」を直視せよ」
http://www.magazine9.jp/interv/isezaki/isezaki_2.html

*誤字
p.103 ルワンダでのジェノサイドについて書いた箇所
地元のFMラジオ局が、「あいつらは敵だ!」「あいつらは殺せ!」という先導的なスローガンを繰り返し流し…
→【扇】動的な
 
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Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第44回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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