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やかまし村の春・夏・秋・冬(アストリッド・リンドグレーン)

やかまし村の春・夏・秋・冬やかまし村の春・夏・秋・冬
(2005/12/16)
アストリッド・リンドグレーン

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年明けに"お年玉本"をどうしようかな~と思いながら、読んでみた。リンドグレーンというと、ピッピくらいしか読んでない。読み終わってから気づいたが、シリーズ3冊のうち、これは真ん中の巻で、先に『やかまし村の子どもたち』、あとに『やかまし村はいつもにぎやか』があるらしい。もちろん単独でも読めるけど、他の2冊もまた読んでみたい。

読みはじめた最初は、ラッセ、ボッセ、わたし(リーサ)、オッレ、ブリッタ、アンナ…と出てくる子どもの名前がごっちゃになって、これはどこの誰やったっけ…と最初に戻ったりしたが、だんだん馴染んできた。

スウェーデンの「やかまし村」の6人の子どもたちの日々。6人…というと、学年ごとに出入りはあったけど、学童保育に通うさいごの学年、小3のときに一緒だった「6人」を思い出す。はっきりとは書かれていないが、やかまし村の子どもたちはそれくらいの年頃だろう。
私がおもしろかったのは、「アンナとわたしのお買い物」。

お母さんに入り用なものを頼まれたリーサ。「買う品物を、書いておいたほうがいいわね」とお母さんは言ったが、鉛筆が見当たらなかったので、リーサは「おぼえといて、ちゃんとおもいだすから、だいじょうぶ」と言って、お母さんの並べたてる品物をおぼえた。

リーサが頼まれたのは、イーストを200グラム、いちばん上等なあぶりソーセージを一つ、ショウガを一袋、針を一袋、イワシの缶詰を一缶、甘いアーモンドを100グラム、酢を一壜。

そこへアンナがいっしょに買い物にいかないかと飛び込んできて、二人はかごを持ってでかける。アンナのほうも買う品物を書いてはいなかった。

アンナが買ってくるものは、石鹸、黒パン一包み、コーヒー500グラム、角砂糖1キロ、ゴムバンド2メートル、いちばん上等なあぶりソーセージを一つ。

二人はでかける前に、おじいさんにお店で買ってきてほしいものがあるかどうかをたずね、「樟脳と塗り薬を一壜」頼まれた。

でかけようとしたら、オッレのお母さんにも買い物を頼まれた。40番の白糸を一巻き、ヴァニラ入り砂糖を一缶、いちばん上等なあぶりソーセージを一つ。

買うものを全部おもいだせるか、ちょっと心配したけれど、天気はいいし、道の脇の木はいい香りがしてくるし、二人は腕を組んで、かごをふりまわし、歌いながら歩いた。「あぶりソーセージ、ひとつだよ♪」 「いちばん、いちばん、上等な♪」という具合に。

さてお店について、二人は自分の番が来るまで長ーいこと待って(大人たちは、どんどん前に出てってしまう!)、やっとエーミルおじさんに注文を聞いてもらえた。まずアンナが、自分のお母さんと、おじいさんに買っていく品物を並べたて、計って包みにしてもらった。つぎに、リーサが、自分のお母さんと、オッレのお母さんに買っていくものを並べたて、包んでもらった。

エーミルおじさんにすっぱいドロップをもらって帰途についた二人は、やかまし村への分かれ道のところで買い忘れに気づく。「ねえ、アンナ、わたし、イーストを買ったかどうか、おぼえてる?」(p.108) 包みを全部手で押してみても、イーストらしいのはなく、二人はいやいやながらお店に戻って、イーストを買って、またすっぱいドロップをもらった。

そしてまた分かれ道のところまで帰ってきて、こんどはアンナが叫ぶ。「あら、おじいさんのしょうのうのぬり薬は!」(p.109) 二人はしかたなくお店に戻り、エーミルおじさんの笑ったこと!二人は、ぬり薬をもらって、またすっぱいドロップをもらう。

もういっぺん分かれ道に来たとき、アンナが怖い顔で言った。「わたし、どうかんがえても、お砂糖を買わなかったと思うわ。(p.109)」 かごの中のものを何度も手で押してみたけれど、砂糖らしいのはない。また店へ戻ってきた二人を見て、エーミルおじさんはたまげるばかり。砂糖をもらい、またすっぱいドロップをもらった。

「ね、アンナ、あの分かれ道のとこ、かけてとおるのよ。それしか、方法がないわ。そうしなかったら、買いわすれたものをおもいだすばっかりだわ。」(pp.110-111) それで二人は分かれ道を駆けて通り抜けた。そして、またあのあぶりソーセージの歌をうたおうとしたときに、アンナが言うのだ。

「リーサ!わたしたち、あぶりソーセージを買わなかったわ!」(p.112) 二人はしばらく道の脇に座り込んで、口を利かなかった。だって、もう分かれ道を過ぎて、急な坂を次々にのぼって、そんなところまで帰ってきていたのだ。二人は、いやいやながら道を戻り、お店へ向かった。あぶりソーセージを三つもらって、こんどこそ二人はやかまし村へ帰る。

分かれ道のところで、水車小屋のユーハンが馬に車を引かせてやってくるのが見えた。リーサとアンナは、車に乗せてもらって村まで帰った。リーサはお母さんに「どうしたの。おそろしく時間がかかったのね!」 (p.115)と言われる。そりゃあ時間もかかる。二人はお店まで何度も何度も戻ったのだ。

かごの中から品物をぜんぶとりだしたあとで、お母さんはそんな苦労も知らずにこう言った。「ほんとに、しっかりした子だわ。なにひとつ、わすれてこなかったものね!」(p.116)

二人が「いやいやながら」お店に戻るところや、分かれ道を駆け抜けても、やっぱり買い忘れがあったところに、笑ってしまった。二人がかごをふりまわしながら歌って歩く姿が、挿し絵になっていて、それもまた笑いを誘う。"これからは買い物に行く時は品物を書いていこうと思いました"みたいな、変な教訓話で終わったりしないのもいい。

結局この本は"お年玉本"にはしなかったけど、おもしろかった。

(1/3了)
 
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Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第37回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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