読んだり、書いたり、編んだり 

昔日の客(関口良雄)

昔日の客昔日の客
(2010/10)
関口良雄

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夏葉社の『昔日の客』は、読んでみたいな…と思っていた本である。こないだ、夏葉社をやっている島田さんの『あしたから出版社』を読んで、2010年の10月終わりに復刊された本を、4年ほど経ってやっと読む。巻頭の「正宗白鳥先生訪問記」から読みはじめて、いい文章やなあと思う。

お酒を飲んだら気持ちよくなって、唄って踊るくせがあるという、古本屋の関口さん。途中からしだいに酒癖がわるくなって、きっぱりお酒は断ったというが、それからも、唄うことはやめなかったらしい。

その関口さんのいとなむ古本屋、山王書房をゆきかった本や、本をめぐる人たちとのことどもが、綴られている。某月某日のページに書かれていた「「方丈記」の精神をもって世に処して来たような人だ」(p.100)という井上さんの話が、こころにのこる。
あるいは、別の某月某日、「すみませんが、お宅の庭の落葉を少しくださいませんか」(p.126)といった調子で拾い集めた落葉でいっぱいになった袋のようすを記したこんなところ。

▼一枚の紅葉した葉は芸術品のように美しく、太陽にかざして見る落葉の葉脈は一段と美しく見えた。
 私はわが郷里の画家、菱田春草の「落葉」の名画を思い出し、その朴の落葉を画いた画家の心が判るような気がして来た。(p.126)

そして、「父の思い出」に描かれている、著者の父の姿。「私はこの父を立派な父だと思うのである」(p.135)という。その父上は50代の半ばで亡くなり、関口さんご自身も60を迎えずに亡くなられた。還暦記念にとまとめようとした本の完成を見ることはなかったが、出版の意志の堅かったご子息が本を出された。父が「自分が死んだら、あとがきはお前が書け」(p.219)と言ったとおりに、あとがきを記されている。

(11/20了)

※菱田春草の「落葉」 - 永青文庫美術館
http://www.eiseibunko.com/collection/kindai2.html

※目についた誤字(私が読んだのは一刷なので、二刷以降で直っているだろうか)
p.27 広律和郎 → 広【津】和郎
p.154 ビカデリー → 【ピ】カデリー
p.206 文学界の新入賞 → 新【人】賞
 
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第42回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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