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スタッキング可能(松田青子)

スタッキング可能スタッキング可能
(2013/01/18)
松田青子

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松田青子の『英子の森』を読んだら、また『スタッキング可能』を読みたくなって、こんどは、てっぺんから収録順に読んだ。いちばん最初は表題作だ。

『わたし』が覚える違和感が記されているところで、あー、わかる、わかる、わかる!!!と思う。『わたし』が「死んでもなりたくない」と思ったその気持ちに、私も覚えがある。『わたし』が「そうしない女がいることを体現してやると心に決めた」のと似たような気持ちを、私もしっかりと抱いていたことがある。私より10歳下の松田青子も、こんな気持ちを感じていたのだろうか、と思う。

そして、「うっじゃうじゃ」いるのは、あまり変わってないのだろうと、正直がっかりする。
▼一度気になりだすと、違和感はどこまでもついて来た。『わたし』がいくら年をとっても、どこに行っても。
 学生時代の夏合宿の夜、『わたし』がオセロで勝つと、負けず嫌いだなあと言った同じサークルに属していた男。どうして普通にオセロをしていただけで、そしておまえに勝っただけで、負けず嫌いになるのか。おまえがオセロ弱いだけだろ。お好み焼き屋で、『わたし』が率先して取り分けないと、えっ女のくせに取り分けないなんてびっくりしたと言った、同じゼミに属していた男。論外。そいつの一言に普通に意見を言おうとしただけなのに、まあまあ、怒らない、ムキにならないとなだめてこようとしたバイト先の男。女が言い返すとは、自分と違う意見を返そうとするとはつゆとも想定したことがない男。そういう女が全員怒っているように見える男。それでむしろムキになってるのはそっちだろとツッコミたくなるほどつっかかってくる男。妙にボディタッチが多く接近度が高い男。どこにでもいた。似たようなのがどこにでも。

 『わたし』はその度に、あーあ、と思った。がっかりした。そう、本当に、心の底から、がっかりした。そういう毎日の中で、相手に合わせてみたり、合わせきれなかったりで、中途半端にその場その場の対応をしながら時を過ごすのは、その場しのぎで生きていくのは、なんだかとてもみじめで心もとないような気がした。自分にずっと嘘をつき続けているみたいだった。ちゃんと地面の上を歩いていないように感じた。

 『わたし』はいつか自分はがっかりしない男の人に出会えるんだろうかと想像してみた。望み薄だな。だってこんなにうじゃうじゃいるんだもん。うっじゃうじゃ。…(略)
 『わたし』は絶望した。終わってる、この世界、終わってる、と思った。
 笑顔がかわいい。えくぼがかわいい。天然でかわいい。やさしい。
 男たちが好きな女のナイスポイントをあげつらうたびに、『わたし』はそんな女になりたくないと思った。死んでもなりたくない。 …(略)
 …それが当たり前だとどこでそう思ったのか知るよしもないが当たり前だと思い込んでいる男たち、そいつらに合わせてるんだかそうじゃないのかわかんないけど同じ思い込みの中にいる女たちの中で、そうしない女がいることを体現してやると心に決めた。これは戦いだと『わたし』は思った。(pp.16-18、「スタッキング可能」)

2度目に読んでも、私はやはり、ここのところを書き写す。

(4/22一読、11/19二読)
 
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Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第42回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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