読んだり、書いたり、編んだり 

ダッシュ!(村上しいこ)

ダッシュ!ダッシュ!
(2014/05/30)
村上しいこ

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海月文庫でお目にかかったことのある村上しいこさんは、本を書いてる人でもあると聞き、最新作を借りてきて読んでみる。中学校の陸上部の話。巻頭に「主な登場人物」がまとめてある。けっこう登場人物が多く、とくに同じ学年の真歩[まほ]、紗凪「さなぎ」、みらい、葉月、符音[ふおん]の5人がどうもごちゃごちゃして、何度かこの巻頭ページに戻りながら読む。

通信陸上競技大会が終わった夏の日、この日が陸上部3年生メンバーの卒業式になる。キャプテンの挨拶のあと、次年度の新チームにむけて、新キャプテンの発表がある。キャプテンは、センパイたちの話し合いで決まり、顧問の先生も関与しない。

実力なら紗凪、みんなを引っぱっていくならみらい、大学生とつきあって遊んでる葉月は論外、長距離の符音は好き嫌いが分かれるタイプ、そして自分自身は大穴にすらならない、ありえない…と思っていた真歩が、次期キャプテンに指名される。

なんでーと問う真歩に、センパイは「あんたが成長してくれないと、全国は見えてこないから。それが理由」(p.9)と言う。キャプテンは何をしたらいいのかと重ねて問うと、「自分で考えろ。バカっ!」の一言が返ってきた。

キャプテンになったと言っても、真歩が号令をかけるようになった以外は、何も変わらなかった。これくらいならキャプテンの仕事もたいしたことないと思っていた真歩だったが、春になって、足の速い(小学生の県大会で入賞しているという)美羽留が入ってきてから、様子が変わっていく。
真歩は自分がキャプテンに向いているのかと悩み、ずっと同学年の4人でやってきたリレーの一走を、バトンパスのミスやタイムの伸び悩みから、美羽留に取られるのではと焦る。

進路のことも考え、音楽をとる、陸上部をやめることしたという符音が、陸上部として最後に出た記録会。真歩たちの中学からはリレーに2チームが出ることになった。真歩は、2年生2人に符音が一緒のチームBのアンカー。小学校からずっと一緒にリレーをしてきたみらい、葉月、紗凪の3人は美羽留を一走にしたチームAだ。なんで私がチームB…美羽留をチームAで走らせたいがための編成だと、心かきみだされる真歩。

記録会の当日も気持ちが入らない真歩に、みらいが「何すねてんの?」「今日の試合の意味わかってるの?」と言ってくる。

▼「立花先生がゴリ押ししたんだよ、きっと。今日の試合を、符音の引退試合にしようって。符音にリレーのよさも伝えたくって。符音ってさ、いつもひとりで走ってたじゃない。そうしていつもひとりで自分を追いつめてた。陸部やめるのだってひとりで決めて。でも、こういう生き方もあるから覚えておけよって、先生なりのメッセージだと思うよ。ちがう?」
 「……………」
 「しかもいちばん仲のよかった真歩に、アンカー任せたんだよ。ただ勝つためなら、紗凪が行くよ。葉月でもいいよ。わたしだっていくよ。でも真歩じゃなきゃダメなんだよ。なんでダメなのか考えろよ」(p.120)

読んでいて、誰が誰だかとちゅう分からなくなったところもあったけど、ここの場面がいちばん印象に残った。

出てくる中学生たちの名前もイマドキだが、ライン(LINE)が出てきたりというのもイマドキ。こういう設定は、10年、20年経ったときに、どんな感じになるんかなーと思う。

女子の陸上モノというと、増田明美の『カゼヲキル』とか、『ジェミーと走る夏』とか、『ハートビート』とか… そのあたりを読みなおしてみたくなった。

(10/21了)
 
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Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第37回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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