読んだり、書いたり、編んだり 

てのひらの父(大沼紀子)

てのひらの父てのひらの父
(2014/04/04)
大沼紀子

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大きくて重い単行本を借りて持って歩くのはちょっとアレだったので、なにか…と図書室をみてまわって、文庫の棚から借りたもの。タマヨハウスという、大家のタマヨさんが一人で暮らすには広すぎる一軒家を3人に間貸ししている、朝夕の食事付き「女性専用の下宿屋」が舞台で、そういう設定が、ちょっと『すいか』風。

間借りしている3人は、職を失い求職活動中の柊子、弁護士になる!と司法試験の勉強を続けている涼子、いちばん長く住んでいるデザイナーのでこちゃん(本名は撫子)。大家のタマヨさんがアメリカにいる友達の看病をするのだと突然出ていってしまったあとに、タマヨさんのいとこだというトモミさんが管理人としてあらわれる。

この眼光鋭く、ずいぶん強面のトモミさん(年配男性)が、「それは管理人の仕事です!」と、少々首を突っ込みすぎではないかというところまで下宿人それぞれの事情に介入し、あるいは意見したりもして、30代、20代、30代の女3人が、それでちょっと変わったりもする。
タイトルの「てのひらの父」も、裏表紙に書かれていた「「父と娘」の物語」も、私にはいまいち分からないまま読み終わってしまったが、女3人とトモミさんと、血縁ではない人たちがともに暮らすなかで、ちょっとしたやりとりを重ね、一緒に食べる風景は、読んでいて心地よかった。

家族とか夫婦とかに興味がなく、どっちかといえばおっさん好きだったでこちゃんが、自分では思いもかけなかった生活(子どもを産み、ずっと年下の男と結婚する)にふみだし、それがけっこういい感じで楽しいというところなんかも、よかった。

柊子の姉は、左側の耳が聞こえない(むかし受けた暴力で鼓膜を損傷したらしい)という設定になっていて、左側なら聞こえないと思ったのか、柊子の母は、その姉の耳に「あんたなんかいなくていいのに」という言葉を重ね続けた、という場面が出てくる。他の箇所に比べて、ここの箇所がみょうに重く感じられ、しかもストーリーの中でやや浮いている気もした。

タイトルの「てのひらの父」や、裏表紙に書かれていた「「父と娘」の物語」に、こういうところが関係あるのだろうか…と思いつつ、やはり私には最後までよくわからなかった。

(8/25了)
 
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Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第40回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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