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チポリーノの冒険(ジャンニ・ロダーリ作、杉浦明平訳、B.スチェエーヴァさし絵)

チポリーノの冒険(ジャンニ・ロダーリ作、杉浦明平訳、B.スチェエーヴァさし絵)チポリーノの冒険
(1987/07)
ジャンニ・ロダーリ作
杉浦明平訳
B.スチェエーヴァさし絵

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『パパの電話を待ちながら』の著者が、『チポリーノの冒険』の作者でもあると知り、サビのところだけ聞き覚えている「ゆこうよ ゆこう~よ くじけーず ゆこう~ チッポリーノ チッポリーノ~ ぼーくーもなーかーまー」の歌がアタマの中で鳴って仕方がないので、図書館で借りてきて読む。

巻末に、楽譜付きで「チポリーノのうた」が収録されている。…私が聞き覚えているものと、歌詞はやや違うが(私は楽譜がよめないので、私のアタマで鳴っているのがこの曲なのかは判然とせず)、「ぼくもなかま」とか「たかい垣根はぼくらにゃいらぬ」とか、断片的に聞き覚えのある言葉が入っている。妹が歌っていたのは、きっとこの『チポリーノの冒険』がらみの歌なのだろう。

訳者は杉浦明平(すぎうらみんぺい)…って、どっかで名前を聞いたことがある。杉浦訳の初版は1956年!岩波少年文庫にはときどきあるが(『マルコヴァルドさんの四季』もそうだった)、今流通してる新版は訳者が違って、関口英子訳

少年文庫で370頁余り、29章あるお話は、なかなか長いけど、おもしろくてやめられず、外出した移動時間の合間合間に読みふけった。
チポリーノとは、「玉ねぎ小僧」なのだった(ロシア語版から採られたという挿絵がまたいい)。おとうちゃんはチポローネ。チポリーノは7人きょうだいで、チポレット、チポロット、チポルッチャ…といった具合に、名前はチポッラ(玉ねぎ)一族のもの。

杉浦訳の旧版カバーの袖には、こう書いてある。

▼わがままなレモン大公の治める野菜とくだものの国。無実の罪でとらえられた父チポローネを救いだすため、タマネギの坊やチポリーノが、サクラン坊や、イチ子[ご]、インゲン小僧などの助けを借りて大活躍する、明るくゆかいな冒険物語。

ここにもチラっと出てくるように、登場人物のほとんどが野菜とくだものなのだ。トマト騎士、ブドウ親方、ナシノ木ナシ男教授、うらなりカボチャのおじいさん、コケモモさん、カブ子、サクランボ伯爵の大奥さまと若奥さま、オレンジ男爵、ミカン小公爵、アメリカニンジン先生、クリ博士、ニラ山ニラ吉どん、エンドウ豆弁護士、人参探偵、くずレモン兵…等々。

この野菜やくだものは、服を着て、口をきき、「人間みたい」だったりする。そうやって大活躍したりしなかったりの登場人物には、動物たちもいる。ムカデ、ネズミ大将、番犬マスチーノ、モグラのおばさん、感激しやすいクマ、告げ口屋のアザラシ、クモの郵便配達夫…等々。

子どもの頃にこのお話を聞いたり読んだりしていたら、それはそれでドキドキわくわくしただろうと思う。大人になって読む私は、無実の罪でレモン大公にひったてられ、終身刑を言い渡されてしまったチポリーノのおとうちゃん(チポローネ)が、物語の冒頭で「牢屋には、りっぱな人たちがはいっていらっしゃるのだよ」(p.19)と言うところに、作者のココロを強く感じる。

そのチポローネ(おとうちゃん)と、チポリーノの対話。

▼「悪いことをしたからじゃないの?」
 「そうじゃない。なんにもしないのに、牢屋に入れられているのだよ。レモン大公は、りっぱな人がおきらいなのだ。」
 「じゃ、牢屋にいるっていうことは名誉なの?」
 「そういっていい時もあるね。牢屋というものは、泥棒や人殺しのためにつくられたのだ。が、レモン大公が国をおさめるようになったときから、ぬすみや、人殺しをするものが宮廷にいて、牢屋には、りっぱな市民がはいっているんだよ。」
 「ぼくもりっぱな市民になりたいな。」「だけど、牢屋にははいりたくないや。いや、ぼく、いつかはきっと、ここにやってきて、おとうちゃんたちみんなをすくいだしてあげます!」(pp.19-21)

チポリーノの冒険は一直線にはすすまない。右往左往し、友達をたすけ、仲間と力をあわせ、ときには希望をなくして、それでも最後にはおとうちゃんたちを助け出す。それだけでなく、チポリーノたちは冒険のさいごに、自由な共和国をたてるのだ。

読みふける合間に、本屋へ寄って、今売ってる関口訳の『チポリーノの冒険』を、ちらちらっと見てみた。杉浦訳とはまたちょっと言葉遣いが違うようで、こっちもいちど読んでみたい。

(8/15了)

関口訳の新版
チポリーノの冒険 (岩波少年文庫)
 
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Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第37回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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