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ゆうことカリンのバリアフリー・コミュニケーション(芳賀優子、松森果林/まんが たけしまさよ)

ゆうことカリンのバリアフリー・コミュニケーションゆうことカリンの
バリアフリー・コミュニケーション

(2003/09)
芳賀優子、松森果林
まんが たけしまさよ

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中途失聴のKさんと、筆談と指文字と手話単語と多少の音声をフル動員して、半日おしゃべり。Kさんも『誰でも手話リンガル』の本を読んでて、私が買った『音のない世界と音のある世界をつなぐ』を貸していたのを返してもらい、松森さんの本の話に。すごーくわかる、そうそう!同じ!って思えて、すぐ読めたとのことだった。

職場では情報に取り残されがちで、何度も聞き返せなくて、結局は笑ってすませることも多いというKさんの話を聞いていて、松森さんが本に書いてた「会議や話しあいのユニバーサルデザインとは、言いたい人が言いたい放題言えることではなく、「参加している人が同じ情報を共有できる」ということが大切なのです」のところ、これ、ほんまに大事やんなー!と言い合った。

それでまた松森さんの本を読みたくなって、別のを図書館で借りてくる。弱視のゆうこさんと中途失聴のカリンさん、二人の経験談がいろいろ書かれてて(笑ってしまうような失敗談もあれこれ)、まんがも入っていて(まんがのたけしまさよさんは、阪神大震災のことを描いた『マンガ・愛ちゃんのボランティア神戸日記』の人だ)、すごーくおもしろかったし、よかった。
森まゆみの『明るい原田病日記』で、「見えにくさは、一人一人違う」という話を読んだあとだったので、弱視のゆうこさんの話は、そうよなー、なるほどなーと思うところがよけいにいっぱいあった。

視覚も聴覚も、「見える/見えない」「聞こえる/聞こえない」の100かゼロかじゃなくて、その間に、一人一人違う「見えにくさ」「聞こえにくさ」がある、そのことがよく分かる本だった。

巻頭で、ゆうこさんが「「見えにくい障害」を説明し続ける」と題して書いている。その中のこんなところ。

▼白杖を持たずに「目が悪い」と言えば、「めがねをかけろ」と言われ、白杖を持って本を読んでいれば、「見えもしない文字を読んで何が面白い?」と言われ…、なかなかありのままの姿を受け入れてもらいにくい。それが二昔前の私の周りの状況だった。
 しかし最近は、「お手伝いしましょうか?」「少しは見えますか?」「メニュー、読みましょうか?」…老若男女を問わず、なんとかコミュニケーションをしようと声をかけてくれる人が多くなってきた。(略)失敗を繰り返しながら、くやしい思いをしながら、それでもめげずにみんなが「人と関わろう」としてきたからだ。むずかしいけれど、「継続は力なり」を信じて、自分の障害をきちんと説明し続けよう。そして、人と関わり続けよう。これが地味だけれど、いちばん近道なのだ。私はそう信じている。(pp.11-12)

そして、巻末では「ありのままで生きる」と題して、ゆうこさんはこう書いている。

▼めがねをかけてもコンタクトレンズをはめても、見えにくい、目が悪いままの弱視」
 見えるふりをすることなく、まったく見えないふりをすることもなく、
 ありのままで生きていきたい。
 それが弱視者の願いだ。(p.157)

このゆうこさんの文章を読んでいて、「見えにくい」「聞こえにくい」ことの苦労を思った。いまは補聴器をつけてもほとんど聞こえないKさんは、聞こえなくなるまえに聞いていた音楽は記憶で楽しめるから聞くことがあるけど、イヤホンを耳に差してるところを職場の人に見られたりしたら、「聞こえないはずなのに」って思われないか不安…と言う。

それも、「聞こえる/聞こえない」をゼロか100かみたいに考えていたり、補聴器をつけたらフツーに聞こえるのだろうと考えていたりする人が少なからずいる現状では、ただの取り越し苦労とは言えないのだ(サムラゴウチさんに対する、あの異様な非難を思い出してもそう思う)。

こんど、ゆうこさんの別の本も読んでみたい(『弱視OL奮戦記』というのがあるそうだ)。

(8/14了)
 
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乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第40回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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