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私の小裂たち(志村ふくみ)

私の小裂たち私の小裂たち
(2012/02)
志村ふくみ

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近所のおばちゃんが帰省中なので、猫の世話に数日通う。志村ふくみ好きのおばちゃんが、よかったらどうぞと、読み終わった文庫本を置いてくれていたので、借りてきて読む。

▼織物をはじめた1960年前後から織ったものの残り裂を手元の手帖に貼っていたがいつの間にかたまって、2007年に『小裂帖』として出版した。
 このたびその中から裂を選び、小裂帖刊行のときに書き下ろした文章と、今新たに書いた文章とを組合わせて、小さな文庫の形にした。(p.3)

というのが、この本。文庫カバーの裏には「草木から絶妙の加減で抽出し、絹糸に吸わせた色の鮮やかさ、織の妙味を、製版・印刷技術の粋をもって再現」と書いてある。

たしかに、この本に掲載されている小裂たちの色は、草木からこんな色が出てくるのかと驚かされる。さまざまな色が組み合わされた織のもように、目がすいよせられる。
たとえば同じ赤でも、蘇芳と紅花と茜の色味のちがい。樹の芯である蘇芳、花を染める紅花、根の色である茜。「花で色は染まらないのが原則」をはずれた紅花で染める興奮。

衣服がほとんど既製品になった今、糸を紡いで、染めて、織り、それを仕立てて着るものにすることは、とてつもなくゼイタクなことに思えてしまう。でも、そうやって手間暇をかけたものだったからこそ、布は大切に大切に、何度も仕立てなおされ、繕われて、使われていたのかなと思う。

志村ふくみは滋賀出身ということもあって、滋賀の県立近美に収蔵品がけっこうある。私もそれらを何度も見ているが、ガラスケースの向こうに掛かる着物と、印刷だけれど手元でじーっと見られる小裂の文庫本と、見る距離の違いを感じる。

(8/12了)
 
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Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第37回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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