読んだり、書いたり、編んだり 

女のせりふ(伊藤雅子)

女のせりふ女のせりふ
(2014/05/14)
伊藤雅子

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著者が、福音館の月刊誌『母の友』(なかなか時代がかったタイトルだ)で1985年から1995年まで連載した小文「女のせりふ」をまとめたもの。なんだかとにかく「懐かしい」感じが強くした。言葉遣いにも、書かれている考え方にも。

その「懐かしさ」は、むかし、こんなことが書かれた本をいろいろ読んだなーとか、こういう話をしたことがあるなーとか、そういう記憶を、あらためて見直した感じ。いまも、それなりに共感はするけれど、これは母の世代の言葉やなーとも思う(奥付で、著者が死んだ母と同年生まれと知る)。

とくに「主婦」について語られている言葉には、「懐かしさ」ひとしお。こういう「主婦」モノは、今も出てるのだろうか?図書館に古い本があるだけだろうか?と思った。

かずかずの「女のせりふ」が書きとめられている中で、丸岡秀子の「生命は人と人との間にある」の言葉が、いいなと思った。物理学者の解説からヒントを得て、「生命とは、究極には固体に属するのではなくて、個と個の目に見えない中間に運動現象としてあるともいえる」(p.171※)と丸岡は考えたという。
この本が、未来社から1995年に出たときの「あとがき」が巻末に再録されている。その末尾の部分は、これが書かれて20年近く経ついま、すっかり普及してしまっているように思えて、ちょっとこわい気がする。

▼最近よくきく言葉のなかで、用心したい、耳に快い言葉といえば、たとえば、「価値の多様化」とか「多様な選択肢」という言葉。ちょっときいただけでは、個が尊重されていると思いがちだ。しかし、実際は、外してはならない原則までもが「どれをとってもよいこと」の一つに位置づけられたり、出せる金額次第の「自由な選択」であったりする。人権尊重と人権軽視が対置されるのでなく並列され、「いろいろあっていい」「人それぞれでいい」ものにされていたりもする。
 本質を読み分けにくい修辞がはびこっている今日、そして、異質化がこんなにも進行してきている今日だから、なおのこと、女たちが確かな自分の言葉・言葉の力を養う必要を痛感する。(pp.273-274)

書かれた時代もあるのだろう、女の対になるのは男、という素朴な前提を感じた。そこには懐かしさというより少しばかり「古くささ」を感じた。

公民館職員として働いてきた著者の本は、前にも読んだことがある。『新版 子どもからの自立』とか『育児力』とか。この本の続編『続 女のせりふ』とあわせて、また読んでみたい気がする。そっちにも「懐かしさ」を感じるかどうか。

(7/31了)

※ここの「固体」は「個体」ではないのか?と思ったが物理の話が絡んでいるので、やはり「固体」でいいのだろうか?
(広辞苑第六版)
固体:物質の状態の一つ。一定の形状と体積とを有するもの。結晶質と非晶質に大別。
 
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第37回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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