読んだり、書いたり、編んだり 

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

わたしたちの島で(アストリッド・リンドグレーン)

わたしたちの島でわたしたちの島で
(2014/05/17)
アストリッド・リンドグレーン

商品詳細を見る

関東の友達が映画「なまいきチョルベンと水夫さん」をみにいくというので(大阪での上映はもう少し先)、私は原作本を借りてきて読む。

登場人物がかなり多く、本の3分の1くらいまで読んだところで、頭がギブアップ。もういちどてっぺんに戻って、出てくる人物のメモをつくったら、それで頭がおちついて、あとは最後まで楽しく読めた。この長い(岩波少年文庫で500頁近い)話の、どこがどう映画になっているのだろう?と思っていたら、巻末の解説には、そもそもこの本はテレビドラマからできたと書いてあった。

1964年、スウェーデンでは、「海ガラス島のわたしたち」という13回シリーズのテレビドラマが放映された。脚本を手がけたのがリンドグレーンで、その後、テレビドラマと同じタイトルで児童向け読みものとして出版されたのがこの本、さらにこの本の9章から12章で出てくるアザラシのモーセと犬の水夫さんにからんだ話を中心に新たに劇場用映画としてつくられたのが「チョルベン、水兵さんとモーセ」(邦題「なまいきチョルベンと水夫さん」)なのだという。

とにかく1964年のスウェーデンは「わたしたちの島で」に沸いた年だったそうだ。それから50年目のことし、50年前の映画が日本で初公開されるとのこと。
ちょっと前に読んだトーベ・ヤンソンの『少女ソフィアの夏』『誠実な詐欺師』となんとなく重なるような感じだった(ウミガラス島の村人のなかに「ヤンソンさん」がいるのだ)。

住んでいるのは20人ばかりというウミガラス島も、夏には避暑客でにぎわう。島のスニッケル荘を借りたメルケルソン一家も、ストックホルムからの避暑客だ。一家は、子どもっぽい父(作家で、「ウミガラス島」という名前が気に入ってここに家を借りた)に、19歳の娘マーリンと、13歳のユーハン、12歳のニクラス、7歳のペッレという息子が3人。

いちばん下のペッレがうまれたときに母が死んで、娘のマーリンが母代わりみたいになってるところがある。このマーリンの「日記」が、話のところどころに差し挟まれていて、地の文で書かれた出来事をマーリンはこう見ていたのか、こんなふうに感じていたのかと知ることができるし、その後あれはこうなったのかと事情も分かるようになっている。

一家が借りたスニッケル荘(ちょっと、かなり、ボロっちい)の隣には、よろず屋をやってるグランクビスト一家が住んでいて、7歳のチョルベンはそこの娘。水夫さんと名づけたセントバーナード犬をつれていて、上には13歳のテディと12歳のフレディ、2人の姉がいる。

このふたつの家族を中心に、ウミガラス島での夏の日々、そして冬休みと春休みが描かれる(メルケルは、1年借りたのだからと、夏だけでなく冬にも春にも一家で島へやってくるのだ)。

同じ年格好のユーハン、ニクラス、テディ、フレディの4人はつるんで秘密集団をつくり、ボートをこいで別の島へわたったり、隠れ家をつくったり。島の中をよく歩きまわっているのは、生きものが大好きでたまらないペッレと、島育ちで大人にも怖じずにものを言えるチョルベン、そこに時々セーデルマンじいさんところのスチーナ(5歳)が加わって、この子らの目から島の日々がみえてくる。

カエルはみんな「魔法をかけられた王子さまだ」と、チョルベンとスチーナがカエルにキスしてみるところには笑ってしまった。それもマーリンのために!そうすると、変身するのをいやがって、ぴょんとボートに飛んだカエルのかわりに、ほんとに王子らしい人があらわれるのだ。しまいには、チョルベンはマーリンに叫ぶ。「マーリン、その男に気をつけてね。ほんとうはカエルなのよ。知ってる?」(p.347)

物語の終盤、来年もまたスニッケル荘を借りたいと思ったメルケルソン一家の前に、ここを買いたいという金持ちがあらわれる。おんぼろの家はつぶしてバンガローを建てるのだといい、あまりお金のない一家はきりきりまいをする。すんでのところでペッレとチョルベンが大家のショーブルムおばさんにうまく会えて、前金(1クローナ銀貨!)を入れることができた。ここのところは、もうはらはらしながら読んで、最後の最後に、ほっとした。

それにしても、父メルケルのことをマーリンはじめ子どもらはずいぶん配慮していて、母をなくしているからよけいにそうなるのか、あるいはこの父が子どもじみているのか…と思った。

(7/30了)
 
Comment
 
 






(編集・削除用)


管理者にだけ表示を許可
 
Trackback
 
 
http://we23randoku.blog.fc2.com/tb.php/5062-166cea64
 
 
プロフィール
 
 

乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
    乱読ブログバナー
本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第44回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

amazonへリンク

 
 
最新記事
 
 
 
 
最新コメント
 
 
 
 
カテゴリ
 
 
 
 
Google検索
 
 


WWW検索
ブログ内検索
Google
 
 
本棚
 
 
 
 
リンク
 
 
 
 
カウンター
 
 
 
 
RSSリンク
 
 
 
 
月別アーカイブ
 
 
 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。