読んだり、書いたり、編んだり 

嗤う闇―女刑事音道貴子(乃南アサ)

嗤う闇―女刑事音道貴子嗤う闇―女刑事音道貴子
(2006/10/30)
乃南アサ

商品詳細を見る

音道貴子シリーズの、やはり短編集をもう一つ借りていたのも、前に読んだような、別の話とごっちゃになってるような気がしながら読む。『未練』で機動捜査隊にいた音道は、巡査部長に昇進して、隅田川東署に転勤。下町の事件に関わることになる。似たような仕事でも、シフトが違い、生活のリズムが変わっていく様子が音道の暮らしから見える。

表題作「嗤う闇」は、レイプ未遂事件の被害者が、通報した男が犯人だと言う。親切にも通報したその人は、音道の恋人・羽場昂一。調べていくうちに、ほんとうの加害者は、被害者のはるか上の上司だとわかる。だが、被害者は上司の顔をよく知っていても、加害者は会社の下っ端の社員のことなど顔も知らないのだった。

▼貴子は何かの本で読んだことを思い出していた。レイプ犯は、被害者にとってまったく未知の人間である場合ばかりでなく、夫や恋人、また顔見知りである確率も、決して低くないという。だが、親しい間柄であればあるほど、被害者は訴え出ることが出来ない。相手の立場を思い、自分の立場を考えて、結局は泣き寝入りする場合が非常に多いというのだ。(p.318)
被害者がどうして虚偽を言ったのかを探っていくところには、音道自身が過去に怖ろしい思いをした経験も見える。「どんな理由があったって、レイプされていい理由なんて、女の側にはありゃしないのよ。」「レイプは百パーセント、男が悪い。誰が何て言ったって。」(p.263)と、音道は一緒に捜査する若い同僚男性に厳しく言いわたすのだ。

昂一が、どうしても信じてもらえないときには言おうと思っていたという「犯人が左利き」の発見から、捜査は少し進展する。加害者が、仕事の虚しさを埋めようがなくなって、怒りに燃え、それが「女が恐怖に怯える顔」が見たくなった、男の言うことを聞くようにさせたかった、となったときに犯罪は起こった。力の誇示、暴力というものが、レイプ犯罪にあることをよく表していると思う。

ベテランの滝沢が、娘夫婦に悩む父親として登場する「木綿の部屋」は、なにが本当なんかなーと何度も思った。

そして、この短編集も、やはり7年前に単行本で読んでいた

(7/12了)
 
Comment
 
 






(編集・削除用)


管理者にだけ表示を許可
 
Trackback
 
 
http://we23randoku.blog.fc2.com/tb.php/5045-3aefa2cc
 
 
プロフィール
 
 

乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
    乱読ブログバナー
本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第37回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

amazonへリンク

 
 
最新記事
 
 
 
 
最新コメント
 
 
 
 
カテゴリ
 
 
 
 
Google検索
 
 


WWW検索
ブログ内検索
Google
 
 
本棚
 
 
 
 
リンク
 
 
 
 
カウンター
 
 
 
 
RSSリンク
 
 
 
 
月別アーカイブ