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悪あがきのすすめ(辛淑玉)

悪あがきのすすめ悪あがきのすすめ
(2007/06/20)
辛淑玉

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▼私の辞書には、「あきらめ」「見放し」「奴隷根性」はない。
 私にとって、どんなにブザマであろうが、どんなに微力であろうが、あがき続けることが生きることなんだと思った。(p.iv、はじめに)

巻頭にそう書く辛淑玉さんが、自身をふくめ、ジタバタを続けている人たちのことを伝えるとともに、泣き寝入りせず、あせらず、楽しんで「悪あがき」を続けるコツを指南する。

こんな人がこんな風に生きてはるんや…と思った。黙っていては自分が許せないと、クルド人難民の一家とともに入管とたたかった公立高校の先生、東文男さん。熊本で在住外国人の人権相談や人権擁護活動をやっている筋金入りの現実派、中島真一郎さん。
東文男さんが、教え子のカザンキラン一家、そしてドーガン一家の2家族のために始めた署名集めに、6万人でストップをかけたという、現実認識。
▼6万という数字は膨大である。そこまで集めたのは、最初の難民のときは1万5000で法務省が動き、次が倍の3万だった。となれば今回は6万なければ、動かないと判断したからだった。彼はそれをやり遂げたと同時に、それ以上集めることはしなかった。次の難民のハードルが高くなるから、という判断である。(p.62)

中島さんは、負ける経験も大事だと語る。
▼「負けた経験? そりゃあ、いっぱいあります。負け続けてきたことの方が多いぐらいです。もちろん、その経験は大事。だって、負けると、考えるから。負けながら、そのつど、どうしたら次はうまくいくかを考える。一度目の申請ではダメでも、二度目、三度目と挑んでいくと、認められていくこともあるしね。経験を積んだせいか、このごろは負けにくくなってきました」(p.75)

そんな人たちの活動のやりかたを紹介して、辛さんは「悪あがきのコツ」を7点あげている。

・あせらずに、力を抜いて
・自分だけのこだわりを大事にする
・肝が据わっていれば、ハチャメチャもできる
・ああ言えば、こう言う
・ときには運も味方につける
・「私はここにいます」と発信する
・日和見だって、悪あがきになる

この最後の日和見については、左翼教条主義のせいで「日和見はよくない」という考えが広がったが、そうじゃない、日和見はエコロジーとエコノミーだ、「今の自分の力やその時々の空気を読んで自分の姿勢を変えたり、出したり引っ込めたりすることは、人間の知恵なのだ。それこそが生きる力になるのだ」(p.153)と辛さんはいう。

▼なにが正義で、どう行動すべきか、その理由と理屈を考えることはたやすい。
 難しいのは、人びとが行動しない理由を考えることであり、なぜ人びとが正義に従わないかを考えること。そして、不正義を前に、じっとこらえつつ、逆転の時機をつかみとること。それこそ、ほんとうの悪あがきの力なのだと思う。(p.154)

「「やれること」は自分が決める」という小見出しのところには、母がほんのすこし関わった住友裁判のことも書かれていた。「世にいう住友裁判の前史は、まず1992年、住友生命の女性たちが既婚女性の雇用を差別する企業体質に異議を申し立てたのがはじまりである」(p.157)という、ここのところだ。

かつてこの会社で、結婚しても子どもを産んでもやめないうえに組合活動に熱心だったという母は、通えないような遠方へ配属変更をされて、これでは身体を壊してしまう、とても勤め続けられないと辞めたのだった。昔の同僚たちが裁判に訴えたときに、母は自分の経験を陳述書に書いたと聞いた。

こないだ読んだ『ニッポン日記』(占領下の日本の実態をアメリカの新聞記者が描いたもの)にも、いまの憲法ができてきた状況が書かれていたが、この辛さんの本にも、こんなことが書いてある。

▼憲法学者の古関彰一さんによると、アメリカは、天皇を占領統治に利用するために天皇制を存続させなければならず、それを周囲に納得させるために戦争放棄の九条を加えた日本国憲法を作り、そしてその直後から、日本を再軍備させアメリカの下請けとして働かせるために動きはじめていたという。(p.93)

古関さんには『日本国憲法の誕生』とか、『憲法九条はなぜ制定されたか』といった本があるらしいので、これはこんど読んでみたい。

(7/6了)

*東文男さんのこと
クルド難民強制送還事件:国、国連、市民はどう動いたのか(難民支援協会)
http://www.refugee.or.jp/jar/10yrs/4-1.shtml (前編)
http://www.refugee.or.jp/jar/10yrs/4-2.shtml (後編)
「難民だからというよりも、むしろ一人の人間として彼らを放っておけなかった」

*中島真一郎さんのこと
コムスタカ-外国人と共に生きる会
http://www.geocities.jp/kumustaka85/intro.html

*住友生命の裁判のこと
住友生命既婚女性差別事件高裁で勝利の和解 
http://www.kangou.gr.jp/sumitomoseimeisyouriwakai.pdf
住友生命ミセス差別訴訟、勝利
http://www.jlaf.jp/tsushin/2001/1032.html#02
 
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Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第44回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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