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ふたりのママから、きみたちへ(東小雪・増原裕子)

ふたりのママから、きみたちへふたりのママから、きみたちへ
(2014/01/17)
東小雪・増原裕子

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子どもの頃に同性が好きな自分に気がついて「あれ??」っと思ったことがあるふたりが著者。このふたりが2013年の3月にディズニーリゾートで結婚式を挙げたこと※は、けっこう有名なのかもしれない(知らない人は知らないか…)。
※「東京ディズニーリゾート初の同性結婚式」 
 http://www.2chopo.com/article/437/

「結婚」して、ふたりは子どもがほしい、育てたいと思うようになった。自分たちが、女ふたりで、つまりは「ママがふたり」で子育てをするということは、子どもにとってどうだろうかということも、ずいぶん考えている。

どういうタイミングで「ママがふたり」のことを話していくのか、というあたりは、うさぎママが「もらっちゃった」ことをアンに話すタイミングを考えていたのと似てる気がした。

子どもをもちたいと考えたときに、AID(Artificial Insemination by Donor, 非配偶者間人工授精)で産むという選択肢をふたりが暗黙の前提にしていたのは、日本の養子制度が、「法的に結婚している男女」の利用を想定したものだからだ。
ふたりは、もしも妊娠した場合、出生前診断をするつもりはなく、なにかのきっかけで胎児に障害があることがわかっても妊娠を継続しようと話し合っている。

「赤ちゃんが元気に生まれてきてほしい」という気持ちについて、東さんはこんな風に考えて、書いている。
▼私はどうして、そう期待してしまうんだろう?
 「病気」より「健康」がいいから?
 病気だったらかわいそうだから?
 そしてそう思うことは、同性愛だったらかわいそう…というのと大差ないのでは? いいえ、同じことなのでは? またしても考えがもどってしまいます。
 同性愛、肌の色、障害…
 ここまで、いろんなことを考えてきました。
 けれども、あらためて思います。
 生まれてくる子どもの属性や状態によらず、生まれてくるその子の存在自体ALL OKでないと、人の親にはなれないのではないか?
 私は親になれるだろうか?(p.80)

ちょっと頭デッカチな気もするけど、そこは、なにごとも考えつめる東さんの性格なのかもしれない。

私たちはすでに一緒に生きている
2013年8月10日、「朝日新聞be」で、「同性婚(男性同士、女性同士)に抵抗感は?」というアンケートとその結果が掲載された記事のこと。そのアンケートがどのような対象を調査して、何人くらい回答を得たものなのか、詳しいことは分からないが、結果としては、49パーセントが「(抵抗感が)ある」と答えたそうだ。

東さんは「ほとんど目にしない、見慣れない存在に対して抵抗感を持つのはある意味で仕方がないことと言えるでしょう」(p.135)と書いたあと、それでも、この設問自体がおかしくないか?と問いかける。

▼回答者に抵抗感がある/ないにかかわらず、私たちはすでに一緒に生きています。私は、このような設問があたりまえのようにして成り立つこと自体が、とてもおかしなことのように思います。…
 …「男性同士、女性同士に抵抗感」がある人がいようといまいと、そして同性婚の法律があろうとなかろうと、私たちはすでにこの社会の中で一緒に生きているのです。(p.136)

だから、それを尋ねてどうすんのと思ったと。これは、出生前診断に対して「調べてどうするん?」と言った人の言葉を思い出させる。

結婚という制度のこと

ふたりは、自分たちのために「結婚」したのだという実感があるという。「結婚」という制度についての増原さんの考えは、社会保障だというものに近い。

▼いっぽう、婚姻や戸籍制度、家父長制などに反対の考えを持っているために、「結婚」に反対している人たちも少なくないと思います。こういった制度がいろいろな問題を抱えていることも私たちなりに理解しているつもりです。けれども、婚姻制度を意識的に利用することは、人生における選択肢のひとつだと思っていますから、近い将来日本でも同性婚ができるようになればいいな、と私は望んでいます。(p.155)

私自身は、戸籍制度は「どうでもいい」ものにならへんかなと思うし、届けてどうこうしようという気持ちは今のところないけれど、同性どうしの婚姻が、男女のカップルのいわゆる「事実婚」的なものにさえなっていない現状のなかで、生活のセーフティネットとしての制度を求めるのは、よりよく生きるために当然やなと思った。

「私たちはすでに一緒に生きている」、その言葉がぐっと心に残る。

(7/1了)

*LGBTポータルサイト「2CHOPO(にちょぽ)」の「読みもの」の中に、連載「東小雪とひろこのレズビアン的結婚生活」がある。
http://www.2chopo.com/article/?type=column

*誤字?
p.118 支度に手まどい、家を出るのが遅くなってしまって、 
  →これは「手間取り」と書きたかったのではないだろうか。
 
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Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第42回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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