読んだり、書いたり、編んだり 

ポースケ(津村記久子)

ポースケポースケ
(2013/12/09)
津村記久子

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6月の終わりに読んだら、登場人物が重なる『ポトスライムの舟』をもう一度読みたくなり、そっちを再読してから、もういちど『ポースケ』を読みなおす。

ナガセの大学時代の同級生、ヨシカが奈良で開いている「食事・喫茶 ハタナカ」の従業員やその家族、あるいは店の客が視点人物となって、各章がゆるくつながっていく。話のなかで、「ハタナカ」でパートで働くとき子さんが「ポースケ」って何やねんーと歌うように、私も読むまでは「ポースケ」って何やろと思っていた。

ポースケは、ノルウェーの復活祭のことだった。客のゆきえさんが、そういうお祭りがあると教えてくれて、ヨシカは「ポースケのおしらせ」をレジの横に貼りだし、人が集まるようならお祭りをやろうと考える。その貼り紙がある「ハタナカ」で、色んな人が行き交う。
5年生になった恵奈(りつ子の娘)が視点人物になった章は、他の章の視点人物がみんな大人なだけに、印象的だった。こないだちょっとだけ会った、知人の小5の娘さんのことを思い浮かべたり、自分が小5だったときのことを、ぼんやり思い出したりした。

そして、最初に読んだときにも、もう一度読みなおしたときにも、私の心に残ったのは、ヨシカが店を開こうと考えたときのこと。新卒で入った会社で、総合職として働いていたヨシカが、会社にそのままでいる、という選択肢を手放すところ。

▼ヨシカは、食事ができる店を開くことを考えるようになっていた。無視されてるけど、仕事はうまくいってるし、このまま会社にいるのもいいから、自分はぜんぜんやっていけるから、と何度も何度も自身に言い聞かせた。それでもヨシカは、自分で自分に仕事を与えられる場所が欲しいという願望を忘れることができなかった。
 それで辞表を出した。(p.248)

『ポトスライムの舟』の時点で、ヨシカはもう店を開いていた。これは、それからさらに5年が経って、店を開いて、なんとか続けて7年が過ぎた頃の物語。

「あとがき」には、この小説を書くにあたって取材したというお店がいくつかあげられていて、そのうちの一つのカフェは私も行ってご飯を食べたことがあった。ヨシカの店や、ヨシカの思いのどこかに、そのカフェの店主さんの存在も溶けこんでいるのかなーと思いながら、二度目は読んだ。

ひとつ、読んでいて結構気になったのは、近鉄の奈良~難波間を、奈良に住んでる人はそんなに特急に乗るか?ということ。登場人物の何人かがこの区間を特急に乗っているが、快速急行に乗っても時間はそう変わらないのに(時間帯によっては、所要時間は5分も違わない)、500円ほどかかる特急料金を出すんかなあ?と思ってしまった。

とくに、旅費や送料がもったいないからと、娘と孫のところへ来るのにいくつになっても九州から高速バスで来て、帰りの荷物を全部背負って帰るようなりつ子の母が、特急料金をわざわざ余分に払ってまでこの区間を特急に乗るかな~?と。そこが不思議だった。津村さんは、奈良へ行くのに特急に乗るんかなぁ。

(6/30一読、7/13二読)
 
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Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第40回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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