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99%ありがとう ALSにも奪えないもの(藤田正裕)

99%ありがとう ALSにも奪えないもの99%ありがとう ALSにも奪えないもの
(2013/11/21)
藤田正裕

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オレは動いてないけど、
100%生きてるのを
忘れんな。
 (p.174)

著者は、私より10歳年下の人で、2010年にALS(筋萎縮性側索硬化症)と診断された。30代に入ったばかりでの発症。この本が出たのは昨年秋で、プロフィールには「現在は、顔と左手の人差し指しか動かない」とある。著者は、「自分の体の動きをひとつひとつ、3年かけてゆっくりと取り上げられるのを見てきた」(p.152)。母の病気の進行も速かったけど、「3年」にALSの進行の速さを実感した。

いままでできたことが、奪われていく。著者は、何度か死にそうになり、人工呼吸器をつけ、気管切開をし、胃瘻をつけた。広告プランナーとして、週1の出社と在宅勤務で仕事を続けている。ALS患者として発信しようという意欲が強いのは、仕事柄もあるのだと思う。

▼これは「本」というより、僕の人生の短い「日記」。
 ALS前と後の、ある日、ある出来事、ある思いを、 
 なるべく素直に記してある。(p.6)
写真もたくさん入っていて、小さい頃の写真や、発症前の若い頃の写真、きょうだい、友人、会社、そして発症後の写真も。

168ページの、すっかり筋肉が落ちた足の写真に、胸をつかれた。左のページにある文章のタイトルは「昔は肉がついてた」。185ページの、気管切開した喉の穴の写真も。左のページにはこう書かれている。「2週間に1回、喉に入ってるかニューれを入れ替える。この痛みは、ホント説明しにくい。固形のモノを吐き、それをそのまま、また喉に押し込まれる感じ?とにかく楽しい時間です。穴、意外と大きいでしょ。」(p.184)

治療法はみつかるのか、それまで自分の命と体はもつのか…諦めがあり、夢があり、涙があり、頑張ろうとし、不安があり、狂いそうになり、我慢し、ALS完治後の生活を妄想し、死にたいと思い、生きたいとも思い…その繰り返しの中で、生きている。

「迷惑」ということを考えた文章(149ページ)は、最後にこう書いてある。

「迷惑をかけるのだけは
恐れない!」

…ようにしてる。お許しを。


「迷惑」の呪縛が強い強いこの社会で、著者の経験と発信は大きいと思った。

(6/23了)

*著者のブログ
 http://blog.honeyee.com/hfujita/
*一般社団法人「END ALS」:著者が友人たちと創設。ALSの治療法確立と、患者の生活向上の支援をミッションとして掲げる
 https://end-als.com/
 
 
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乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第42回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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