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伴侶の偏差値(深沢潮)

伴侶の偏差値伴侶の偏差値
(2014/03/20)
深沢潮

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『ハンサラン 愛する人びと』がおもしろかったので、同じ著者の最新作を読んでみる。短編なのかと思ったら、最後までイッキの長編だった。

主人公は、35歳の真紀。タイトルにある「偏差値」というのは、受験を控えた者がその上下で一喜一憂するのに似て、真紀が誰彼と自分を引き比べて、上だとか下だとか、自分のほうがいいとかわるいとか、全方位的にやたら気にするところが、微に入り細を穿って描かれているのを、よくあらわしていると思った。

その比べっこも、どんどん状況が変わっていくなかで、何度かどんでん返しがある。小説中では、3・11の大震災以後、ぱたぱたと駒を裏返すように、真紀の目にはいいように見えていた物事や、あんなふうにはなりたくないと思っていた事柄の、別の面が描かれる。
あの人の生き方も、あの人の結婚も、自分のモデルではないと思うものの、一方で、自分には、そんな収入も、そんな結婚も、あんな家も、あんな伴侶も手に入らないのではないかと不安と焦りがこみあげる真紀。

30代半ばでシングルで、まわりからなんやかんや言われがちな(そしてまた、そういうので自分を縛ってしまって身動きがとれなくなりがちな)、どないせーっちゅうねん!という鬱陶しさが、よくよく書かれてるなーと思った。

こないだ、かなり怖い思いをして、篠田節子の『長女たち』を読んだあとだからか、父を亡くしたあと不安定になった母親のために仕事も変えざるを得なくなった真紀、弟がフラフラと行方知れずになったせいで母と実家の重みを感じている真紀の「長女ぶり」は、私にもちょっと分かる気がした。

(6/18了)
 
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Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第40回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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