読んだり、書いたり、編んだり 

ブックカフェのある街(前野久美子)

ブックカフェのある街ブックカフェのある街
(2011/01/31)
前野久美子

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2年前の夏、仙台へ初めて行ったときに買った本。著者の前野久美子さんがやってる「book cafe火星の庭」へも行って、コーヒーを飲み、店内の古本を見てまわった。途中まで読んだあと、どこへやったか分からなくなっていたのが、ウチのなかを片づけていたら出てきた!またてっぺんから読みなおす。

本を買ったときに、前野さんて同い年の人なんやーと思い、転職を繰り返して、お勤め期間の最長は5年というところにも、ちょっと親近感をおぼえた。

本の前半分は、火星の庭を開くまで、そしてこれまでの話と、火星の庭につながる、それ以前の前野さんの長い旅の話。

▼火星の庭はブックカフェ。古本屋とカフェのどちらが主力ということはなく、片方だけで見ても空間と内容が成立する魅力あるものにしたい。古本屋だけでも楽しい、カフェだけでも行きたい、二つあるならもっといいというお店。ということは、古本屋とカフェの二業種を同時にやることであり、労力と経費は二倍かかる。なのに売上げは一店舗分。この事実については、珍しくはじめてからすぐに気がついた。気がついても自分達のやりたい形を変えることはできず、そうかぁ、なんでブックカフェが少ないのかと思ったら、割に合わないからなんだとわかっただけだった。(p.34)
ドイツの和食レストランで働く調理師募集の広告を見て、「その頃はころころと居場所を変えて生きていくつもり」(p.71)だった前野さんは、軽い気持ちで履歴書を送る。採用になり、フランクフルトへ飛んだのが1990年のこと。東西ドイツ統一の1ヵ月前、そんな頃だ。

前野さんが初めて経験したブックカフェは、小さな本屋とカフェが並んで建っていて、入り口は別だが中はつながっていた。本屋から入り、キルヒナーの画集を買って、カフェでカプチーノを飲みながら画集をひらき、2時間すごした。帰りはカフェから出た。

以来、前野さんは出勤前、昼の休憩時、夜の帰宅前というように、気分と行き先で、街中にある十数軒のカフェに入るようになった。ブックカフェも数軒あって、そこへも行った。「本を読めばお茶が飲みたくなり、お茶を飲むとなると本がほしくなる。やがて私のなかで本とカフェは一つ、と自然に思うようになっていた」(pp.79-80)。

ドイツのカフェで一人過ごした時間を振り返って、「言葉が通じないという心地良さ、がたしかにある」(p.91)と前野さんは書く。
▼異邦人としてほっておかれることは、言葉が通じるだけで理解し合っていると勘違いするより、気が楽だ。変わり者なんて言われない、はじめからお互いわかんない奴なのだ。徹底的に部外者になって、現実をながめる快感も味わえた。(pp.91-92)

ドイツでカフェに入りびたり、2年弱で日本へ帰ったあと、1997年、こんどは夫になったケンさんと2人で中近東とヨーロッパをまわる旅に出た。このときもまたブックカフェをめぐった。そうしたヨーロッパでの体験が、前野さんにとってはブックカフェ経験の芯のようなものになっているという。

本の後ろ半分は「街と人と本と」。火星の庭で出会ったさまざまな人たちのインタビューや文章、行事の記録など「本」つながりの"物語"収められている。こんど仙台へ行くときには、あそこやここへも立ち寄ってみたいと思いながら読む。

『仙臺文化』という雑誌を同人12人でつくっていた渡邉慎也さんへのインタビューのあと、追記として書かれたところに興味をひかれた。「仙台は軍都とよばれ空襲の被害がことさら大きかった」(p.156)という箇所。

私には、軍都といえば「広島」が出てくるけれど、仙台も軍都だったのかと思う。陸軍の第二師団があったのだという。この仙台の歴史は、もうちょっと知りたい。私は、「杜の都」とか「学都」のイメージばかりがあったから。

(6/3了)

*「軍都 仙台」で、近所の図書館の蔵書検索をすると、『語りつぐ東北と十五年戦争』が出てきた。読んでみたいと思う。
 
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乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第40回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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