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本の雑誌370号(特集 図書館を探検する!)

本の雑誌370号本の雑誌370号
特集 図書館を探検する!

(2014/03/10)
本の雑誌編集部

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『本の雑誌』はこれまでもたま~に読んでいたが、図書館特集はとくにおもしろかった。特集以外の記事もすみずみまで読んだ。「新刊めったくたガイド」など本への愛がみちていて、読みたくなる。

図書館について考える系の雑誌というと、『ず・ぼん』が近所の図書館にあって、それを時々読んできたけど、書いてる人やインタビューされてる人は図書館員や図書館界隈の人が多く、それに比べると『本の雑誌』は"本を読む"人の側、図書館でいえば借りて読む人の側から書かれてる感じがした。あと、出版社の人や本を書いてる人(著者)の話もあった。

巻頭の「いま図書館はどうなっておるのか!」の座談会。
図書館がブックリストを作ったり、特集展示をしたりすることについての話が、私にはおもしろかったし、その理屈もへぇーと思った。
舟田彰さん(=川崎市役所の人で、図書館のみならず行政全般にも詳しい)「リストまで作ると、それがおすすめの本と認識される可能性もあるし難しい」という発言に、編集部が「え、おすすめの本はいけないんですか」と尋ねている。違いますと答える嶋田さんは、全国の図書館に詳しいという人。

[嶋田綾子] 少し違います。図書館の本は一冊一冊平等の扱いをしています。どの本がおすすめというわけではなく、その中で、「こんな本もありますよ」とお知らせしているのです。
 [藤阪康司] でも、こういうおすすめのリストを作らないと、図書館の中で散逸してしまう。
  そうなんです。だからなんらかの手段でリストを作ったり、特集展示をしたり。あとは常設の場にしてしまうとか。
 …(略)…
  そういう話を聞いていると、書店のコーナー作りと変わらないですね。
  基本同じなんですけど、図書館の場合はNDCという図書館用の分類で並んでいるので、あっちこっちに関連づいた本があるんですよ。それはそれで必要なことなんですけど、たまにはそれをまとめて定義づけをする意味がある。だから特集展示をやるんですけど、実際はアグレッシブな特集展示をやってる館はそんなにないんです。(p.11)

図書館の場合、そういう特集展示をやるために仕入れや返品を考えなくていいため、思いついたらすぐできるフットワークの軽さがある。そのかわり、借りられたら終わりだし、書店のようなボリュームは作れない。

そこで、藤坂さん(=偕成社販売部の人)が、「図書館のこういうコーナーですごく需要があったよ」という情報を地元の書店に流すと、書店では平積みしてみようかという発想になるとか、そうなると図書館と書店で同じフェアができたりしてもっとおもしろくなる、と語っている。

図書館で企画したイベントを書店で展開するというコラボ、それは確かにおもしろい!「これからは書店と図書館と出版社が一緒になって読者や利用者にもっと喜んでもらえるような取り組みをしていきたいですね」(p.11)と座談会は閉じられる。

座談会のなかほどでは「ある図書館が貸出しが多い本の寄付を募ると告知しましたよね」という話がある。うちの近所の図書館でも、リクエストが多い本を寄贈してほしいと図書館の入り口に貼り紙があり、図書館のホームページにも書いてあり、市の広報にも載っていたりするので、それはどうなのかと思いながら読む。

藤坂さんは、「図書館関係者の中には本が『商品』だということをあまり意識されていない方もいらっしゃる」「『本』で食べている人がいるってことをあまり意識されていない」(p.8)と言っている。

特集の他のページでは、新潮社の常務取締役・石井昂が「鶏を殺さないで欲しい」と書いている。「図書館はストックが第一義、せめて新刊本は6ヵ月ほど貸し出しを猶予していただけないか」という石井の意見に対し、「市民のために本を貸し出すのは民主主義の原点だ」という図書館側からの反論。

▼「わかりました。民主主義の為に卵をたくさん無料で配ってください。それで鶏が死んでもかまわないんですね」
 最後はそう言わざるをえなかった。
 本が正当な値段で売られることによって、著者もそれをサポートする出版社も書店も生存することが出来る、という当たり前のことが住民サービスのためという錦の御旗のもとにないがしろにされてきた(もちろん異常な複本の数を減らした図書館もある。(pp.20-21)

この"図書館=無料貸本屋批判"は以前からずっとある。石井の隣のページでは津野海太郎が「図書館無料の原則は憲法九条である」と題して、こんなことを語っている。

▼本来、商品である本をタダで貸すことにはたいへんな緊張が伴うはずです。だって著者も出版社も納得しないでしょ、普通。手間と金をかけて作った商品がタダで貸し出されちゃ困るじゃない? だからこそ、図書館は外圧に対して、書店とはちがう自分たちの基本原則をきちんといい続けないといけない。そうしないと、何かあればそんな原則は簡単にひっくり返されちゃう。実際、今まさにそれが起きそうな状況になりつつある。憲法九条と同じですよ。(p.23)

そしてお約束のように、武雄図書館へ行ってみたというツアー報告があり、3人のおじさんたち(=宮里潤、杉江由次、浜本茂)は伊万里図書館へも行っている。
武雄の感想のひとつはこんな。
 いいじゃん。気に入っちゃった、オレ。
  年中無休で九時から九時までですよ。こんな図書館が家のそばにあったら毎日来ちゃいますよね。
  図書館につきものの妙な生真面目さみたいなものがないでしょ。窮屈な感じがしない。本の並べ方もアバウトだし。(p.34)

一方、伊万里図書館については「官民の『民』が民間企業の民じゃなくて市民の民なんだ」(p.36)というところに、武雄との違いがあるような気がした。

「図書館」テーマに特化した雑誌として誌面に出ていた『LRG(ライブラリー・リソース・ガイド)』、こんなん知らんかったなーと思う。

あと、日本雑誌協会がつくった小冊子「これで雑誌が売れる!!」が紹介されていて、こんなん図書館にあるかなと思ったら、ネットにpdfがあった。
http://www.j-magazine.or.jp/report_20120301.html
pdf版
http://www.j-magazine.or.jp/doc/20120201.pdf

この特集号のことなど、近所の図書館の人としゃべってみたいなーと思う。

(4/28了)
 
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乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第41回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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