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女は笑顔で殴りあう マウンティング女子の実態(瀧波ユカリ、犬山紙子)

女は笑顔で殴りあう マウンティング女子の実態女は笑顔で殴りあう
マウンティング女子の実態

(2014/02/08)
瀧波ユカリ、犬山紙子

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「「自分の方が立場が上」と思いたくて、言葉や行動で自分の優位性を誇示してしまうこと」(p.6)=「マウンティング」と名づけた行動について、瀧波ユカリと犬山紙子が対談しつつ、マンガを交えつつ、実際のシミュレーションもしてみせる本。

▼端的にいうと、「こんなことをされているというのを人に説明しにくい」というのがマウンティングの特徴だよね。(p.31)

最初のほうにこういう説明が出てきたせいもあってか、これは何かに似てるなー、見たことあるなーと思いながら読んでいた。「こんなことをされているというのを人に説明しにくい」ところは、狡猾なパワハラのようでもあるし、「マウンティング」と名づけたことで、パーッと見えてくるものや、気づくことがあるところは、「セクハラ」が名づけられた頃のことを思いだすし。
最後の章は「マウンティングの回避法」について二人が語りあっていて、そのキモのところは、イヤなことや理不尽なこと、なんじゃこりゃと思うことをされたときの回避や対処として参考になるな~と思う。

瀧波 人と会話してて「あれ? おかしいな」と思ったとき、適当に流してしまわないで、「ちょっとトイレに行ってくるから、このまま待ってて」って、3分ぐらいの猶予を作る。そして、たったいま言われたことを紙に書き出してみる。
 犬山 なるほど。別にウマいこと言ったり、キレイにマウンティングで返すんじゃなくてもいいわけですもんね。ただ言い返すだけで。
 瀧波 「その言い方はちょっと傷つくな~」とか、その場でストレートに返せれば一番いい。一日経ってから「あの言い方はどうかと思う」みたいなメールを送ると角が立つし。
 犬山 「一日中、そのこと考えてたんだ」って根に持ってる風に思われるのもイヤだし。
 瀧波 切り返し方と瞬発力が大事。
 犬山 瞬発力に自信がない人は、瀧波さんが言ってたみたいにタイムを取るといい。「私いま、ちょっとモヤモヤした気分になってる。よし、タイムを取ろう!」って。(pp.230-231)

タイムを取って言われたことを書き出す効用や、切り返し方と瞬発力が大事というところ、根に持った風になりがちな私は、やはり「なるべくその場で」やな、と心に留める。

そして、「女は笑顔で殴りあう」というタイトルで、本文は「女子がどうの」という例に満ちているのが、読んでいるあいだは気になった。

犬山紙子がそのあたりを、マウンティングを名づけたことで、男が「女って恐いよな」って話題で盛り上がるときの材料にしないかという懸念として語っている。瀧波ユカリがそれを受けて「たしかにマウンティングは女に限った話はないよね。女の方が言葉巧みに悪意をベールに包みこむぶん、今までこの手の話題が表面化しなかっただけというか。それで今、ここで定義や解決法を話しているわけで(笑)。男の人同士のマウンティングは、寝てない自慢とか年収自慢とか、わかりやすすぎてあえて掘り下げる必要もない感じ」(p.237)と言ってるところを読んで、ある現象を名づけることの懸念と、それでも名づけて掘り下げる現実認識をみせてもらった気がした。

本の冒頭で、マウンティングをするほうには、コンプレックスがあるんじゃないかという話があって、そこのところは格差意識のようなもんやなーと思った。平川克美の『移行期的混乱』で、こう書いてあったような。

▼自らを格差の上位に位置づけるもののなかに「格差という物語」は生まれようがない。…学歴、職業、ステータス、報酬といったものに対して、自らが本来受け取るべき機会、金銭、ポジションが不当に貶められているという意識がなければ、格差は問題にならない。
 格差を常に意識するということは、自分が格差社会の下位に位置しており、その位置は本来自分が享受すべき位置ではないはずであり、自分が不当にシステムの犠牲になっているというメンタリティに固着しているということである。(『移行期的混乱』、p.190)

末尾の回避法のところでは、マウンティングをされても、やりかえしたり、もやもやしたりすることのない人=自分の生き方に不満がない人の話が出てくる。

瀧波 そういう人にマウンティングをしかけてものれんに腕押しっていうか。
 犬山 マウンティングが通用するのって、お互いに何かしらのコンプレックスを抱えているときなんですよね。
 瀧波 お互いに「相手よりも自分の方が幸せだと思いたい!」って気持ちも根底にあるから。(p.244)

マウンティングがパワハラと同じだとも思わないけど、似てるなと思うところはいろいろあって、「パワハラの被害者を何人も出しながら自分に加害の自覚がない人」のことを具体的に思い浮かべてみると、これって、"事情通型"マウンティストだったり、"プロデューサー型"マウンティストだったりするのかな~と思えてきた。

同時に、人の振り見て…のごとく、自分もうっとうしいマウンティングをやってしまっているんじゃないかと、読みながらわが身を振り返ったりした。

(4/20了)
 
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Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第42回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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