読んだり、書いたり、編んだり 

るきさん(高野文子)

るきさんるきさん
(1996/12)
高野文子

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私も買ってもってるマンガが、「トイレで読んで」と送られてきた。私ももってるはずが、本棚に見当たらず、送られてきたのを久しぶりに読む。文庫版は1996年に一刷で、送られてきたのは2008年の十一刷。

送り主の感想は「新聞だか何だかのコラムで「おもしろい」と書いてあったので買ったのですが… 別につまらなくはないけど、言う程おもしろくもない… 主人公はかわいい。にくめない。時代設定が昭和っぽい」。

私はこのマンガは笑いながら読んだ記憶がある。さて、久しぶりに読んでどうか。
時はバブルがぶくぶくとふくらんでいた頃(1986年)、『Hanako』誌上で「るきさん」連載ははじまり、バブルがぱぁんとはじけた後の倹約モードのような頃に、思い立ったるきさんがイタリアへ行ってしまったところで連載が終わっている(私が大学を卒業した年だ)。

るきさんは、たぶん世間様の主流とはズレていて、そのズレぐあいに、けっこう親近感がわく。バブルの時代に、みんながみんな消費に蕩尽したわけではない、というのは分かっているけど、最新の流行に遅れずついていってバカスカ服を買ってる友人えっちゃんの隣で、るきさんは1ヵ月分の仕事を1週間で終わらせて(在宅勤務だ!)、あとはゆるっとした生活。図書館で本を借りて読み、記念切手の発売日には郵便局へ行く。

今も高校のときの「化繊の安物セーター」を着て(遊びにきたえっちゃんの髪がひゅーっと吸いよせられるほどすごい静電気!)、下は「ウエストきついからってえっちゃんが去年くれた」スカート、今日はあたしが夕ごはんをごちそうしようかと出かけるときの上着はこれも「あたしシュミかわったから」とえっちゃんがくれたジャンパー。

一方で、しょちゅうしょっちゅう新しい服を買ってるえっちゃんは、冬物を片づけるときに「これだめ」「これもポイ」と処分する山をつくっても、衣装ケースに服が入りきらない。このあとクリーニングに出してたコートが戻ってきたらまたあふれる、どうすんのあたし!状態。

そういうところを見ると、まるで違うるきさんとえっちゃんだけど、近所の一人住まいどうし、絶妙な距離でつきあっていて、そこもおもしろい。

夏のクリアランスセールでもみくちゃになって買い物したあと、デパ地下で晩のおかずの買い物をする2人。えっちゃんは「トーフハンバーグ」をふたつ、るきさんは「ハムカツ」を二枚。酸化防止剤未使用をチェックしてニボシを選び、サワー漬け用の米酢を探し「これって100パーセント玄米かしら」と店員さんに尋ねるえっちゃんの横で、るきさんは「ベニショーガ」を買っている。

えっちゃんが「そういうのってね 毒よ 毒!」「ともかくテンカブツとゲンパツは大ドクよ!」と主張しているのを聞いているのかいないのか、るきさんはつーっとカウンターで食事をしている人をのぞきにいって「えっちゃん トン汁定食だって」と明るい顔。

「テンカブツとゲンパツは大ドクよ!」というのが載ったのは、1988年の8/11-18合併号。チェルノブイリ原発事故から2年あまりが経った頃、このセリフが載っていたのだなあと思う。

るきさんとえっちゃん、年の頃は30代の前半あたりか。たぶん、私よりひとまわりかもうちょっと上の世代(著者の高野文子とおないくらいの設定か)。話の続きがあるとしたら、あのバブルの頃から四半世紀ほど経ついま、るきさんとえっちゃんはどんな風に暮らしてるだろうなーと考える。

るきさんちでは、ダイヤルをぐるっとまわす黒電話がちりりーんと鳴っている。えっちゃんは、初めはプッシュホンの電話を使っているのだが、最後のほうでは子機をもってしゃべってる(あるいは、携帯電話のはしりかもしれない)。

そんな生活のなかに見える道具が、びみょうにナツカシイところもおもしろい。

(4/17了)

笑いながら読んだ記憶1
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笑いながら読んだ記憶2
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第43回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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