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女子漂流 うさぎとしをんのないしょのはなし(中村うさぎ、三浦しをん)

女子漂流 うさぎとしをんのないしょのはなし女子漂流
うさぎとしをんのないしょのはなし

(2013/11/06)
中村うさぎ、三浦しをん

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この本が出た頃に一瞬見た気がするが、その後忘れていた。こないだ図書室で見かけて、中村うさぎと三浦しをんが二人でどんなことしゃべるのかと借りてきて読む。二人には「中学から女子校、中高一貫校、横浜市内にあるキリスト教系」という共通点があるという。

その「女子校」時代をベースにしたような、女子校の女子はどんなもんなのか、女子校の女子の恋愛もようとエロ、二人の日常から、「漂流」し続ける女子の生き方…みたいなことが語られている。

どこまでが「うさぎ」独自、「しをん」独自のことなのか、どこまでが「女子校」括りの話になるのか、そこはなかなか線引きが難しいように思うが、対談を終えて本にする際に書いたのであろう、しをんのまえがきと、うさぎのあとがきがおもしろかった。
たとえば、「圧倒的にモテない」と自覚するしをん。
▼でも、正直に言おう! 私はどうしても、どうしても、モテに興味が持てない!(シャレではない)。入浴も男受けする服もトークスキルも、心底どーでもいい! もっとほかに、自分にとって重要なこと(漫画とか)があるような気がしてならないのだ!(p.4、まえがき)

それでも、しをんは、ひとと会ったときには、それなりに話を合わせて気を遣ってきた、なぜなら、周囲と違和を生じさせぬために「恋愛戦線から脱落するのをよしとはしていない」というポーズが重要だと思っていたからだ。

▼「モテにも恋愛にも結婚にも興味ないなんて、ド変態にちがいない」。そんな無言の圧力を勝手に感受し、実態のない「世間」に対して予防線を張ってきたのだと言えよう。(p.5、まえがき)

うさぎと話して、そのあたりが、ちょっと吹っ切れたとしをんは書く。
▼自意識や世間体に全面的に屈服することは、自分を否定することと同時に、他者への不寛容につながる。自分の欲望や、自分にとって大切なものをないがしろにすることは、他者の欲望や、他者にとって大切なものを認めないのと、実は同じだ。そう気づいたので、今後はモテを希求しているふりをするのをなるべくやめようと思う。(pp.5-6、まえがき)

対して、「我々は、漂流している…我々の人生には、目指すべきゴールなどない」(p.190、あとがき)と認識するうさぎ。
▼なんだ、そうだったのか。最初からそう言ってくれればいいのに、若い頃はどこかにゴールがあると信じてたから、がむしゃらに筏を漕いでしまったじゃないか。
 だが今回、三浦さんといろいろ話していて、目からウロコが落ちた。
 そうか! どこかにたどり着こうとしない生き方があるんだ!(pp.190-191、あとがき)

好きなものに没頭していれば、筏がどこかに流れていこうがお構いなし、という風情のしをんの生き方を見て、自分との違いは、「高度成長とバブルを体験したぎらぎらした自己実現世代」と「就職氷河期で野心や野望なんて腹の足しにもならないことを知ってしまった世代、自己実現なんてゴールがどこにもないことをあらかじめ知ってしまった世代」の違いかと考えるうさぎ。

▼…がむしゃらに筏を漕いできたことを公開はしていない。ただ、ゴールなんてどこにもないと分かった今、オールを手放し、茫然と大海原を漂いながら、ふと思うのだ。
 こんど生まれてきたら、私は三浦さんみたいに生きてみたい。人生が果てなき漂流に過ぎないと分かった今、オタクこそがこの漂流を楽しめる理想の適応者なのだ、と。(p.192、あとがき)

本文を読んでいる間は、タイトルの「女子漂流」がいまひとつピンとこなかったが、しをんのまえがきと、うさぎのあとがきを読んで、漂い流れるというのがなんとなく分かった気がした。

(4/16了)
 
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あたしは、世界でたった一人のあたしの味方なんだから。 浪費、整形、ホスト・・・・・・女の業を体現し続ける作家・中村うさぎと、“女戦線"からの離脱を切に願う“隠遁女子"作家・三浦しをん。ともに女子校に育ち、だけど歩んできた道は正反対。そんな2人が、長い漂流の先に見つけたものは──。 美人か、ブスか。美醜という基準は、女子の生き方をとても縛るものだよね。女子って「でも、ブスじゃん...
2016.02.12 12:40
 
 
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Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第37回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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