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歌わせたい男たち(作・演出=永井愛)

歌わせたい男たち(作・演出=永井愛)
▼二兎社「歌わせたい男たち」
 作・演出=永井愛
 出演=戸田恵子、大谷亮介、小山萌子、中上雅巳、近藤芳正

芝居を収録したDVDをみる。2005年初演のこの芝居が数年前に再演されたとき、行きたいな~と思い、新聞の切り抜きを冷蔵庫に貼っていたが、結局行けずじまいだった。

そのときは、脚本の『歌わせたい男たち』を読んでガマンした。

DVDのパッケージには「笑える悲劇」とあったが、ほんまに、笑えて、そしてこの芝居並みにというか、芝居以上にというか、「歌ってちょ~~~!!」と校長が懇願する悲劇の事態は進行してしまっているのだろう、と思う。
今は「歌わせたい」校長が、かつては内心の自由についてビラを書いていたような人物だったこと、しかし今ではその認識は誤っていたと言うに至っていること、その背後にはイヤだという内心の自由は侵していないという最高裁の判断があること… ここの部分は、脚本を読んだときにも笑ってしまったが、芝居ではなおさら笑えた。

笑えない事態なのだけれど、笑えた。

同時に、起立せず歌わない教師・拝島に対し、ミチルが「私は一人で食っていかなきゃならないんだもの」と言ったところに、この起立しないとか歌わないという問題の厳しさを感じた。

こないだ、公立校で働く知り合いに聞いてみたら、非常勤や常勤の(身分が不安定な)講師の人は、立たなかったり歌わなかったら、所属長の推薦にもかかわるし、そのあとの雇用は厳しいでしょうねと言っていた。非正規が増えて、組合の組織率も低くなって、そういうなかで自由に思うことを表明できるかどうか、というと、教員でなくとも難しいだろう。

この立たない歌わない問題は、日の丸や君が代の問題にされがちだし、そこが問題の一部だとは思うけど、拝島が言うように「たとえ、民主主義をたからかに謳う歌であっても、それが強制されるなら、私は反対します」という、自由の問題でもあるのだと、芝居をみて、しみじみ思った。

大阪の府立高校では、いつの間にか(※)、ふだんから日の丸を掲揚することになったらしく、何ヶ月か前にたまたま平日の昼間に電車から卒業した高校が見えたら、そのてっぺんに日の丸が翻っていた。またつい先日も近所の高校の前を通ったら、校門脇のポールにたかだかと日の丸があがっていた。

※府立学校を含む大阪府の施設における国旗の掲揚については、「大阪府の施設における国旗の掲揚及び教職員による国歌の斉唱に関する条例」(2011年6月府議会で、維新の会が提出した条例案が採択されたもの)で、「府の施設においては、その執務時間(公の施設にあっては、府民の利用に供する時間)において、その利用者の見やすい場所に国旗を掲げるものとする。」となっているらしい。

芝居のとおり、「歌わせたい男たち」は、もうほんまに東京から全国に及んでいってるんやなーと思う。採用の際に憲法遵守を誓うはずの公務員にこんな条例があって、憲法が保障する「思想・良心の自由」はいったいどうなるねんと思う。

(4/12)
 
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第37回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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