読んだり、書いたり、編んだり 

あのころの、(窪美澄、瀧羽麻子、吉野万理子、加藤千恵、彩瀬まる、柚木麻子)

あのころの、あのころの、
(2012/04/05)
窪美澄、瀧羽麻子、吉野万理子、加藤千恵、彩瀬まる、柚木麻子

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『ふがいない僕は空を見た』の窪美澄や、『白雪堂化粧品マーケティング部峰村幸子の仕事と恋』の瀧羽麻子、ほかの人はあまり読んだことがないけど、イマドキの旬の作家6人が「女子高生時代」という「あのころ」をそれぞれ書いたアンソロジー。「読む~?」と貸してもらって、読んだ。

家族のこと、きょうだいのこと、同級生たちのこと… こういう気持ちになったことがあったような気がする、と思い出すような短編集。瀧羽麻子の「ぱりぱり」がよかった。
柚木麻子の「終わりを待つ季節」では、「ジェンダー」や「ヘテロ」という言葉が出てきた。こういう言葉が小説に出てくるのは初めて見たかもしれない。生まれ年でいえば、私のひとまわり下になる柚木麻子の世代では、高校で「ジェンダー」とか「ヘテロ」は、あるいは教科書などで出てくる言葉だったのだろうか、とも考える。

真澄のことを好きな千香子が、真澄とフケようとする琴子に大声で言うのだ。
▼「ずるいよお! 私の方がずっと前から真澄のこと見てたのに! なんで卒業直前であんたなんかにかっさらわなきゃいけないのよお。ジェンダーの問題なんてちゃんと考えたこともないハチダイなんかに進む頭からっぽ女のくせに。こんなのって、ないよお。どうせ真澄の気まぐれなんだから。卒業までのつなぎなんだから!」(p.261)

真澄は噴き出して、琴子にこう言う。
▼「さっきの見た? 超、自分に酔ってたね。ジェンダーだって! 言ってるうちに自分でどんどん興奮しちゃうんだろうね。昼ドラみたいだった。超ウケる。泡吹いちゃって本当に蟹みたい」(p.262)

そして、そんな言い方ないよという琴子に、真澄は分析してみせる。
▼「だからさあ、自分で自分をレズだと思い込みたいだけなんだって。かけても良いけど、あの子はヘテロだよ。あと半年もして大学に入って男の彼氏が出来たら、私のことなんて忘れるんだって。変人なのは今だけ。普通に就職して、普通に結婚するタイプだって。あの子の気持ちは一過性。私を好きな振りをしてれば、クラスで浮いていることの言い訳にもなるし、他の子とは違うんだっていう優越感にもつながるでしょ。あの子はあの子で私を利用してるの。だったら、どうして私があの子を利用しちゃいけないのよ」(p.263)

「ジェンダーの問題なんて」と千香子が口にするからには、ひとまわり下の世代ではそういう問題が授業中に扱われることもあったのだろうか。あるいは、今の高校や中学で、そういうのは出てくるものなのか。ジェンダーフリーバッシングの時代にはかぶっていないのだろうか。そんなことを考えてしまうのだった。

(3/18了)
 
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Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第41回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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