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『青鞜』の冒険 女が集まって雑誌をつくるということ(森まゆみ)

『青鞜』の冒険 女が集まって雑誌をつくるということ『青鞜』の冒険 
女が集まって雑誌をつくるということ

(2013/06/27)
森まゆみ

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2月に、Googleのトップで「平塚らいてう生誕128周年」が出ていたときに、ちょうど図書室でこの本を見かけ、サブタイトルの「女が集まって雑誌をつくるということ」に興味をひかれて借りてきた。第一章のタイトルは「五人の若い女が集まって雑誌をつくること」。

森まゆみ自身が『谷根千』という雑誌をやっていたこともあって、復刻版の『青鞜』をこまごまと読みながら、雑誌というもののあり方や、それをつくるのに集まった人たちや、読者のことを書いているところが、私にはおもしろかった。「編集後記が一番おもしろい」とか、この記事はどうかと思うとか。

平塚らいてうが『青鞜』の言い出しっぺだったが、お金が足りなくなったときに補填してたのはらいてうの母だったとか、らいてうが誌面を私物化してるのはどうかと思うとか、そんなんも書いてあって、『We』を引退した私は、つい『We』のことと重ねたりもした。
途中から『青鞜』同人になった伊藤野枝や他にも何人か「校正がとにかく嫌だ、厄介だ」と書いてるそうで、そういう人が多かったのか、『青鞜』はたいへん誤植が多かったそうだ。森まゆみが「校正は雑用でなく、雑誌の信用のためにも集中してかかるべき枢要なしごとである」(p.196)と書いている。校正好きな私は、本や雑誌や新聞の誌面を読んでいて、つい誤字を見つけてしまうことがあり、それがあまりに多いと、やはりどうかと思ったりするわけで、大事なしごとよなーと思う。

『青鞜』は発行から一周年で、東雲堂に出版販売をまかせ、会費、購読料の送金、雑誌の申込み、交換広告などもこの東雲堂が取り扱うことになった。青鞜社は原稿を集めて編集するところだけにかかることにしたのだ。広告とりや購読料の授受、発送、配達などは雑誌発行にとって読者や支援者、出版関係者と編集者をむすぶ大事なところなのにと森は書く。椎名誠や目黒孝二の『本の雑誌』が自前の配達ルートと配達部隊をもっていたことを引き、「作った人が持ってくる、作った人がじかに売るということは、共感を広めるうえで強みなのである」(p.148)と。

▼肉体労働よりも精神労働に重きを置き、"雑用"が嫌いな『青鞜』同人が、発売・経営すら手放したとき、それは一見、執筆や編集に集中できるように見えて、実はたくさんの読者とのつながりや雑誌そのものの運動力を弱めることになったのではないか。これが『青鞜』廃刊への第一歩ではなかったかと思えてならない。(p.148)

その後、『青鞜』の販売は、東雲堂から尚文堂へとうつる。
▼雑誌は内容で評価されがちだが、いくらいいものを作ってもデリバリー、配本、販売、集金がスムーズでないとつづかない。同人誌などは直販で書店に置いてもらっても、回収、集金を怠るため、いわゆる三号雑誌に終わりやすい。私たちの『谷根千』は取次を通さず、書店だけでなく地域の飲食店や手仕事の店など三百カ所に自転車で配って歩いた。これこそ雑誌発行の醍醐味と言えるところなのにもったいない、とも思う。しかし、らいてうにしてみれば、こうした一切は雑用に思えたのだろう。(p.205)

『青鞜』の編集後記には「本社はかなり貧乏してるので皆さまの寄付を歓迎」とあるそうだ(『We』もカンパ歓迎などとよく書いていた)。それに対して森まゆみは、「雑誌への寄付については、私は好まない」と書く。

▼雑誌への寄付については、私は好まない。「いいことをしているのだからカンパせよ」と今もあちこちから赤い罫線の振替用紙を入れた郵便が届くが、それぞれ自分の責任において自分の運動や機関誌を担えばいいのである。雑誌もそうだ。雑誌を売ってナンボ、広告を取ってナンボ。「貧乏だから寄付して」とは、『谷根千』は25年間、最後まで言ったことはなかった。自分でつくる雑誌くらい、楽しそうに、口笛ふいて配りたいではないか。人の金で作っているという負い目をもちたくないではないか。(p.108)

寄付をクレクレというのは、森のいうように、たしかに「イイことをしてるのだから、応援しろ」という傲慢さにうつることもあるだろうと思うと、『We』はどう見えていただろうか…と振り返って考える。

森は、『青鞜』や、中心となったらいてう、そして雑誌にかかわった同人やその周囲の人たちの「あの時代」をも描きながら、『谷根千』をやってきた自分とひきくらべて、共感できるところ、私はそうは思わないというところを書いている。その根っこには、同じこの千駄木の地で女たちが集まって自主メディアをつくった先輩たちへの尊敬と愛がある。

先輩たちを思って書いた、このラスト。
▼いま、地震による大津波が浜を襲い、東京電力福島第一原子力発電所の事故により日本の未来が閉ざされかねない毎日を生きているとき、らいてうが、野枝が、紅吉がいれば何を言うか、何をするかと考える。彼女たちは思うところを堂々と述べるだろう。もうごまかさなくてもいい、自分を偽らなくてもいいというその声こそが、私を励ましてくれる。(p.293)

私も、いちどゆっくり復刻版の『青鞜』を読んでみたいと思う。

(3/6了)
 
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Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第44回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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