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Because I am a Girl―わたしは女の子だから(ティム・ブッチャー、グオ・シャオルー、ジョアン・ハリス、キャシー・レット、デボラ・モガー、マリー・フィリップス、アーヴィン・ウェルシュ(角田光代訳))

Because I am a Girl―わたしは女の子だからBecause I am a Girl
―わたしは女の子だから

(2012/11/20)
ティム・ブッチャー、グオ・シャオルー、ジョアン・ハリス、キャシー・レット、デボラ・モガー、マリー・フィリップス、アーヴィン・ウェルシュ(角田光代訳)

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収録されている各作品もよかったが、冒頭の角田光代による「私も女(の子)だからこそ――まえがきにかえて」がよかった。
プランというNGOから依頼をうけて、角田は「Because I am a Girl」キャンペーンの一環として、2009年、アフリカのマリへ向かった。女性が性的快楽を感じることのないよう、切除することで結婚まで純潔が守られると見なされているために、女性性器切除という習慣がいまも続いているというマリ。それがもとで女の子はいのちを落とすこともある。

長い伝統をもつ女性性器切除の習慣を変えることは無理だろうと、角田は絶望的に感じていた。伝統であるならば、外国人がとやかく言えることではないのではないかとも。角田はいろんな村をみる。習慣をかたくなにやめないと女性たち自身が主張する村があり、数年前に完全にその習慣をやめた村があった。そのやめた村は、近隣の4つの村を説得して、切除の習慣をやめさせたという。

習慣を変えるのは絶対に無理だと思っていた角田は、そうした変化に驚く。それは、地元のプランと地域スタッフの活動によるものだった。角田と同行した女性職員は「二、三カ月に一度、八時間かけてこの地域を訪れ、廃止をした人たち、廃止を検討している村の人たち、廃止しないと言っている村の人たちと、対話を続けている」(p.4)という。衛生プロジェクトのスタッフは、この地域に家を借りて、もっと頻繁に村々を訪れているそうだ。
こうした伝統の習慣が「動いている」ことを目の当たりにし、またこのような機会があれば声をかけてほしいとプランに頼んでいた角田は、2011年にはインドへ行った。

インド南部のアーンドラ・プランデーシュ州、男尊女卑の風潮が色濃く、カーストの考え方も根強いところだという。プラント地元のNGOが支援している村で、女性たちが「そのようなカーストに生まれたからこの仕事に就くしかできないという考えを、捨てはじめている」(p.6)ことに角田はであう。

▼そのようになって最初に生まれるのは、怒りであることを私は知った。
 集まった女性たちのひとりが、こうした話をしているうち、猛然と怒り出したのである。今まで警察にいかに軽んじられてきたか、こんなことがあった、あんなひどい目に遭わされた、なぜなら彼らはカーストだと決めつけているから。警察も近所の人も、まるで犯罪者のように私たちを扱ってきた。
 その怒りの勢いはまったく衰えず、どんどん強まり、その場にいたほかの女性たちも、同意し、うなずき、補足しはじめた。私は最初にこの怒りに戸惑い、何ひとつ解決していないのではないかと暗い気持ちになったが、しかしそうではないと、彼女の顔を見ているうちに理解した。怒りは第一歩なのだ。今、彼女たちはようやく、自分たちが見下げられてしかるべき存在ではないと知ったのだ。怒り、声を上げ、結束し、闘いはじめたのである。解決してはいないが、けれど解決に向けて、動きはじめているのだと彼女の怒りは気づかせてくれた。(p.7)

角田は、プランのようなNGOの活動を知り、たとえば団体に寄付をした場合に実際にそれが変化をうみだす力をもっていることを知ってよかった、女だからという理由だけで女の子や女性がいまだに理不尽な扱いを受けていると知ることができたのは自分にとって意味があった、なんとかしたいと思うところからしかものごとは動かないからと書く。

もうひとつ、角田が知ってよかったと書くのは、マリでもインドでも、働きかけているのがその地で生まれ暮らすスタッフで、それらをさらに、文字どおり必死になって広めているのは、「間違っている、変えることができると気づいた、その地域に暮らす女性たち」(p.9)だということだ。

1週間ほどのことだけれど、自分が行ったことがあるというのもあって、本の最後のドミニカ共和国が出てくる「送金」(アーヴィン・ウェルシュ作)が印象に残った。

(1/20了)
 
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Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第42回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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