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きわきわ―「痛み」をめぐる物語(藤本由香里)

きわきわ―「痛み」をめぐる物語きわきわ
「痛み」をめぐる物語

(2013/06/26)
藤本由香里

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「あとがき」で、著者がこの本をコンパクトに紹介している。
▼本書は、ご覧いただければわかる通り、自傷・リストカット、スプリットタンや刺青などのボディ・モディフィケーション、美容整形、美醜の問題、顔の傷痕、婚外の性愛、セックスワーカー、障害者の性…など、いわゆるコントラバーシャル(=議論を呼ぶ)類の、だからこそ人々が話題にするのを避ける「きわきわ」な問題だけを追いかけて綴った「ゼロ年代(+α)の日本」論である。(p.225)

「きわきわ」の問題を追う理由を、著者は続けてこう書く。
▼…霧の向こうにある崖の存在を誰もが感じながら、崖は、ないことにされている。ここは、安全な地面。霧の向こうの崖に落ちてしまうのは「運の悪い人」。そんなはずはないのに。福島の原発事故だって、霧の向こうにある崖は「ないことにしていた」からこそ起きたのではなかったか。
 だからこの本では「きわきわ」の問題だけを書いた。社会のキワで人は深く深く考えざるを得ない。深いものとなるためには、私たちは〈世界〉を回復しなければならない。
 「きわきわ」のところから、この十数年の社会を振り返るこの作業は、思いがけなく私を、30年以上前に大学で学んだことの中に連れ戻しもした。ずっと私の底に沈んで問題意識であり続けたもの。私はずっと「社会」と〈世界〉の間にあって、「社会」と〈世界〉を繋ごうとし続けてきたのだと思う。…
 「社会」と〈世界〉を繋ぐこと――それは、祈りでもある。
 この祈りが、あなたに伝われば、嬉しい。(p.226)
いろいろと引かれている作品のうち、本はまだいくつか読んだことがあるのもあったけど、映画やマンガはタイトルだけは知ってるものの見たことがないのや、全然知らないのもたくさんあって、知らないのをネタに書かれた評論は、いまいちついていけないところもあった。

読んだことのないやつで、読んでみたいと思ったのは小手鞠るいの『早春恋小路上ル』。ジェイムズ・ティプトリー・ジュニアの「接続された女」(『20世紀SF〈4〉1970年代』所収)。フェイ・ウェルドンの『魔女と呼ばれて』

その「きわきわ」問題を書いた目次はこんな。


表面の傷・「痛み」の力―コミックの中の自傷  
II
第一話 徴のある顔 
第二話 他者になりかわりたい 
第三話 婚外の恋 
第四話 恋と日常
第五話 社長になるか、社長夫人になるか。 
第六話 風俗という「お仕事」 
第七話 セックスワーカーはヒーラーである 
第八話 せまいせまい私の場所 
第九話 一瞬だけの永遠
〈附録〉都条例とBLのいま

この人の本は、だーーーーいぶ前に『私の居場所はどこにあるの?』を単行本で買って読んだやつ以来か。


いくつか誤字が目につく。p.234、p.200、p.35など。

(1/13了)
 
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Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第39回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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