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かつお節と日本人(宮内泰介、藤林泰)

かつお節と日本人かつお節と日本人
(2013/10/19)
宮内泰介、藤林泰

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たしかこの本が出た頃だったか、新聞かなにかの書評でちらっと見たのだったか、(あ、藤林さんの本だ)と思っていたのに、秋はあれこれ忙しくて、そのまま忘れてしまっていた。ミニコミ「ブックマーク」を元々送っていた住民図書館が閉館し、その資料を引き継いだのが埼玉大学の共生センターで、いちどセンターを訪ねたときに、藤林さんにもお目にかかる機会があった。
(その後、市民資料は、埼玉大学から立教大学へ移管されて、「ブックマーク」も今は立教大学の共生センターへ送っている。)

年明け、共生センターのスタッフだった方からいただいた年賀状にこの本のことが書かれていて、あ!と思い出した私は、図書館が開く前に、本屋で買ってきて読んだ。

『かつお節と日本人』のタイトルは、『バナナと日本人』や、『エビと日本人』を意識してつけられている。"カツオ・かつお節研究会"という市井の研究会メンバーの多くは、直接・間接に鶴見良行さんの薫陶を受けた顔ぶれだった。"かつお節から世界を見てみよう"と始まった研究会は、帯にあるように、かつお節を追いかけて「300年、4000キロの物語」になったのである。かつお節をたどっていくと、日本と東南アジア・太平洋海域との関係の歴史がみえてくるのだ。
削ったかつお節を透明なパックに小分けにした「フレッシュパック」が世に送りだされたのは、私がうまれたのと同じ年だった。それまでも、機械で削ったかつお節をセロファン袋に入れて売っていたというが、もちが悪く、風味もすぐ失われていた。

「ポリプロピレン・ビニロン・ポリエチレンの三層からなる透明なフィルムと、酸素を除去して窒素や二酸化炭素などの不活性ガスを封入するガス置換包装という技術の開発によって」(p.130)、風味が損なわれない削り節パックができた。

その簡便さが消費者に受け入れられて爆発的に普及し、かつお節を削る音は家庭の台所から消えたという。私には、削り器でかつお節を削るという記憶がまったくない。かつお節といえば、削ったのをパックから出して使うものだった。

そして、削ったものが主力商品となったことで、かつお節の作り方そのものにも変化が起きた。削って売るのだから、形はどうでもよくなって、荒節のままで削り節メーカーに納入することが多くなったという。かつては、荒節を、削って形をととのえ、天日乾燥とカビ付けをおこなったものが、いわゆる"かつお節"(仕上節あるいは本枯節)だった。

また、削ったときに「花」がふんわりと見た目よく、そして酸化しにくいためには、日本近海までやってくる脂の乗ったカツオより、脂の少ない熱帯海域で獲れたカツオのほうがよいという事情と、カツオ漁業の遠洋化とは、どっちが先かは判然としないものの、歩みを揃えるように進んでいったのだ。

自分がうまれた年にできた削り節パックと消費のあり方が、かつお節のあり方を変えていったという現代史もおもしろかったけど、明治から昭和の敗戦までのあいだのかつお節をめぐる人の動き(とりわけ身軽に動いていく移民たちの姿)と、そこに影響を与えた戦争や植民地という時代状況との絡みも、ふうううーーーんと思うものだった(しかも、この敗戦までの「関係」が、また70年以降にぐぐっと顔を出す)。

「こんにちかつお節を日本に多く輸出しているのはインドネシア」(p.148)で、なかでもかつお節生産のほとんどを担っているのは「ビトゥン」という町だ。インドネシアでのかつお節生産の歴史は、昭和初期から敗戦までと、戦後の空白をはさんで、70年代以降の段階とがある、というのも、ほんとに全然知らなかったなーと思う。

(1/8了)
 
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乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第44回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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