読んだり、書いたり、編んだり 

傷だらけの店長〜それでもやらねばならない〜(伊達雅彦)

傷だらけの店長〜それでもやらねばならない〜傷だらけの店長
〜それでもやらねばならない〜

(2010/07/31)
伊達雅彦

商品詳細を見る

海文堂にいてはった平野さんの『本屋の眼』のあと、"本屋モノ"をいくつか続けて読んだうちの一冊。この本、この夏に文庫(『傷だらけの店長 街の本屋24時』)になって、うちの最寄りの本屋でもしばらくのあいだ面陳(表紙を見せて陳列)されていた。

その文庫を何度か手にとって、しかし、どうも、本が好きで勤めた本屋でボロボロになってしまった店長さんの話らしくて、それをうちに買って帰るのはなんだかちょっと気がふさぐ気がして、買わずに図書館で借りてきた。

学生時代のアルバイトから、中規模なチェーン店の書店員になり、そして店長になった著者。でも、儲からないから何かをカットしていくことになる。人は増えないし(むしろ減る)、給料はあがらない。本を売るのが楽しくて、これが天職だと思った著者が、本屋という職場、本を売るという仕事に、削られていくような感じ。

そこが読んでいてちょっとつらかった。
もう本屋を辞めようという店長さんが、本屋に寄る。そこで、自分はなんで本を売る仕事をしてきたのだろうかと振り返る場面がある。

▼駅ビルにある本屋に寄る。欲しい本があった。
 いささか古いが、まだ絶版になっていないその本は、おそらくこの書店にはないだろう。出版社もメジャーではなく、在庫してあることを期待するには、その店は「一般的」でありすぎるように思われた。データに基づき、上位ランクの本だけを危なげなく揃えているイメージを、私はその書店に持っていた。
 (略)
 ところが、その本は棚にあったのだった。
 なんともいえない感動を覚えた。よくぞまあ、こんな本を在庫していてくれた、と思った。さっそくそれを手に取り、中身を見る。しかし確認するまでもなく、私はもう、その本を買うことに決めていた。購入することで、この店に感謝を示したかった。
 (略)
 たまたま、かもしれなかった。何かの偶然で、私の欲しかったその本は、この店にまぎれ込んだのかもしれない。だが、それを見つけたときの喜びは依然、私の中に残り続けていた。
 そう、私はこの喜びや楽しさを、書店員として客に提供していきたかった。
 探していた本を見つけたときの喜び。
 意外な本に出会う楽しさ。
 客がそれをかなえる空間を創り上げることのみを夢見て、書店員を続けていた。給料が安くても、理不尽で辛いことがあっても、それがあるから仕事を続けることができたのだ。(pp.262-264)

いまのところ、私は使わないけれど、とっとと電子書籍の端末を手に入れた同居人は、すでにかなりの冊数を電子書籍で買って読んでいる。目当てのモノに最短でアクセスできるのは、電子書籍なのかもしれない。でも、並ぶ本のなかから「これ」と見つけるのと、「これ」と検索して本を買うのと、やっぱり違うんやろうなと思う。

この店長さんの話を読んで、現状としてますます大変な職場だろうとつくづく思うし、体力なし子の私にはとうてい無理かなーーと思うけど、(いちど本屋さんで働いてみたい)という気持ちが私には依然としてあるのだった。

(10/31了)
 
Comment
 
 






(編集・削除用)


管理者にだけ表示を許可
 
Trackback
 
 
http://we23randoku.blog.fc2.com/tb.php/4792-75052884
 
 
プロフィール
 
 

乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
    乱読ブログバナー
本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第37回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

amazonへリンク

 
 
最新記事
 
 
 
 
最新コメント
 
 
 
 
カテゴリ
 
 
 
 
Google検索
 
 


WWW検索
ブログ内検索
Google
 
 
本棚
 
 
 
 
リンク
 
 
 
 
カウンター
 
 
 
 
RSSリンク
 
 
 
 
月別アーカイブ