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幸せになっちゃ、おしまい(平 安寿子)

幸せになっちゃ、おしまい幸せになっちゃ、おしまい
(2012/02/09)
平 安寿子

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これの単行本は、以前に読んでいるのだが、図書館の所蔵検索でタイラアスコ本を見てたら、書誌情報のところに「2009年刊を大幅に加筆修正」とあったので、大幅に加筆修正か!と思って、借りてきた。

2011年3月11日、「あの日がなかったかのように、それ以前と同じ内容のものを世間にお出しできない」(p.11)と、タイラアスコは思った。

▼不意に襲ってくる大災害は、ある意味、シンプルに生きる力を取り戻す機会になる。
 被災者たちが願っているのは、幸せになることではない。穏やかな日常を取り戻すことだ。そのために、被災者はなんとかしようと日々、がむしゃらに生きるだろう。被災しなかったわたしたちが震災を忘れてしまっても。
 でも、被災せず、穏やかな日常を送っているほうだって、無事ではいられない。何事もない日々ほど、誰にもわかってもらえず、誰とも共有できず、従って誰にも同情してもらえない個人的不幸と一人で戦わなければならないからね。(p.13)

本文を読んでいると、かすかに記憶にある文章にまじって、タイラアスコが3・11を経て思いめぐらせたことが書いてある。サバイバルにはフィクションを、絵空事バンザイ!とか。
「心の弟は韓国人」という文章のなかで、周囲への違和感が、タイラアスコとその心の弟である彼との通路になった、と書いてあった。この心の弟は、タイラアスコのデビュー短編集『素晴らしい一日』から、二編の映画を撮った人(*)。
▼自分の世界を自分の周囲だけに限ってしまうと、孤立するしかない。だが、今見えている狭い範囲の外側に、心の友達もきょうだいもいるのだ。
 生きていれば、いつか出会える。必死になって探さなくても、きっと出会える。だから、長生きしなさい。(pp.117-118)

前に読んだときには、「幸せになっちゃ、おしまい」というタイトルのココロが、私はあまりよくわかっていなかった。と、この文庫を読んで思った。

人生にはアップダウンの法則がある、とタイラアスコは思っている。
▼一番いいのは、望みに向かって努力しているとき。いつか幸せになれるように祈っている間。そのとき、あなたの目は空を見上げているでしょう。美しいのは憧れや望みを持つ心、それ自体なんだから。(p.20)

幸と不幸、アップとダウンはワンセット。そう考えるタイラアスコは、文庫あとがきの最後にもしつこく書いている。
▼幸せは不幸の前触れだ。不幸になりたくなかったら、幸せになっちゃいけない。
 不幸なままで頑張ろう。頑張れるのは、楽しいぞ。(p.213)

なんかちょっとだまされてるような気もするが、「不幸なままで頑張ろう」というのもありかなあと思いながら読み終える。

(9/6了)

*心の弟、イ・ユンギの映画
「素晴らしい一日」
「アドリブ・ナイト」
 
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Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第43回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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