読んだり、書いたり、編んだり 

逆襲、にっぽんの明るい奥さま(夏石鈴子)

逆襲、にっぽんの明るい奥さま逆襲、にっぽんの明るい奥さま
(2008/12/18)
夏石鈴子

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読むのは3度目か4度目の『逆襲、にっぽんの明るい奥さま』。私は何度か借りて読んだあげくに、この本を買ってしまったくらいだ。5年前に出たこの本のあとがきには、「続編のタイトルは、今のところ『突撃、にっぽんのきれいな奥様』を予定しています」(p.189)と書いてあるのだが、まだ続編は出ない。心待ちにしているあいだに、夏石鈴子のすでに出ている本を、時々また読んでみたりする。

読んで、話に出てくる人の、声には出さない心のうちのご意見に、そうそうと思い、あるいは、話に出て来る人が口に出した言葉に、う、という気持ちになったり、私も似たようなことを言ったことがあると思い出したりする。こういう言動をする人はイヤだ、というところに共感もする。
『逆襲、にっぽんの明るい奥さま』とか、『いらっしゃいませ』とか、夏石鈴子の書く話を私は何度も読んでいる。くりかえし読んで、同じところで、あーそうそうと思うときもあるし、こんなことも書いてあったかなと新たな発見をするときもある。

『逆襲、にっぽんの明るい奥さま』のあとがきには、こんなことが書いてある。このあとがきも、数度目にしているが、こんなん書いてあったっけと今回思った一節。
▼最近のわたしは人間について、よく考えている。特に人間の才能を考える時、とりあえず何があっても外からは普通に見えるというのが、最大の才能ではないかと思います。「この人、大丈夫?」と思わせる人は、あまりいないものです。だいたいの人は、悲しみ苦しみがあっても、それは外に見せないものだ。だから、そんなことを今回、物語にしてみました。(p.188)

私は、あとがきの中でも、この部分の、すぐ前にあるところをくっきりおぼえていた。

夏石鈴子が書くもののおもしろいところはいろいろあるが、登場人物が、文句というか批判というか、アホかおまえ!というような相手に(おおむねは、口に出さずに心のうちで)ぶっつける罵詈がいい。

私はたぶん、そういう罵詈を、登場人物の心をなぞって読みながら、自分がぶっつけたい相手に言ってる気になってるのかもしれへんなと思う。そして、登場人物の観察眼を自分も拝借しながら、罵詈をぶっつけたい相手を観察し、自分自身を省みているような気がする。

たとえば、自分がパワハラをしている、などとは思ってもいないような人物の、しかしそれはどう考えてもハラスメント言動でしょうというものは、ほんとうに処置無しで困る。現実には、私も「なるべく避ける」くらいしかできないことが多い。面と向かって、アホかおまえ!と言えたらいいけれど、そう簡単には言えない。当たって、向こうが砕けてくれたらいいが、こちらが砕ける可能性のほうが高い。何の気なしにハラスメント人間になってる人は、そういう立場の人物だからだ。

そういう苦しく、しんどいときに、夏石鈴子は効く。私はほんとに、いっときはお守りのように『いらっしゃいませ』を読んでいた。

職場であれば、組合とか話せる同僚さんとか、それもすごく大切だけれど、自分自身の心の支えがあると、アホかおまえ!というような相手のいるような場をやりすごすのに、助かることもあるのだ。

(8/27了)
 
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Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第41回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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